2018年12月11日(火)

【論説】臨時国会閉幕 審議の空洞化が進んだ

臨時国会が閉幕した。改正入管難民法が焦点だったが、政府側は政省令に任せられている根幹部分について「検討中」を連発、細部は詰まらず、安倍晋三首相も閉幕後の記者会見で、野党の批判などを「重く受け止める」と述べた。さらに与党の数に任せての採決強行や閣僚の答弁回避も重なり、審議は空洞化した。

中でも問題だったのが、国税庁への口利き疑惑を追及された片山さつき地方創生担当相だ。疑惑を報じた週刊文春の発行元である文芸春秋を名誉毀損(きそん)で訴えたことを理由に説明を拒み、真相解明ができなかった。

政策に関しても閣僚の疑惑に関しても理屈を付けて説明がなされないならば、国会は採決のためだけにあることになる。

政府、与党は、自己都合や党利党略による審議軽視はいずれ議会制民主主義を機能不全に陥らせることを自覚しなければならない。

片山氏の口利き疑惑を報じたのは臨時国会前の10月18日発売の週刊文春。片山氏側が2015年、会社経営者から100万円を受け取り、この会社の確定申告に関して国税庁の関係者に電話をしたとの内容だった。記事中で会社経営者は、口利きを片山氏の私設秘書に依頼し、100万円を渡したことを認めている。

発売直後、片山氏は、口利きや100万円受領の事実を否定。翌日の記者会見では「裁判の場を通じて明らかにしていきたい」と訴訟準備中であることを理由に詳細の説明を拒み、22日、文芸春秋に1100万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

片山氏は10月24日からの臨時国会でも同じ理由で詳しい説明をしなかった。その後、片山氏が「私設秘書ではない」としていた男性が参院を出入りできる通行証を保有していたことなどが判明したが、口利きについては真相究明が宙に浮いた格好になっている。

訴訟中であることは閣僚が説明をしなくていい理由にはならない。憲法63条で、首相や閣僚は国会で答弁または説明のため出席を求められたときには出席しなければならないと定められている。

この規定について政府は、2008年4月に閣議決定した質問主意書に対する答弁書で「国会において誠実に答弁する責任を負っていることを前提としている」と明記している。

片山氏は参院議員で閣僚という究極の公人であるにもかかわらず、私人の立場に逃げ込んでいる格好だ。そんな片山氏を任命した安倍首相の答弁回避も首をかしげざるを得ないものだった。

11月7日の参院予算委員会で、共産党の小池晃参院議員が日米地位協定の改定を求めると、安倍首相は米軍基地内での環境汚染を日本側がチェックできるとした「環境補足協定」締結を挙げ、政府側の努力を強調した。

しかし、小池氏が立ち入り調査や質問に答えるのを米軍が拒んでいることを「認めるか」と迫ると、安倍首相や河野太郎外相は「事前の質問通告がなかった」ことを理由に答弁しなかった。

質問に対する答弁の内容やバージョンを全て想定して次の質問を事前に通告することは、事実上、不可能だ。安倍首相のような理由を許すと質疑は代表質問のように一問一答で終わることになる。これ以上の答弁逃れを認めてはならない。

2018 年
 12 月 11 日 (火)

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