2018年4月23日(月)

【論説】ゆがむ官僚 政府の異常事態だ

極めて異常な事態である。

学校法人「森友学園」に関する文書改ざん問題を受けた財務省の佐川宣寿前国税庁長官辞任の衝撃からわずか1カ月余りで、女性記者へのセクハラ発言を週刊新潮で報じられていた福田淳一事務次官が辞任する。

改ざんやセクハラ発言への対応に加え、ツートップの不在で最強官庁とされる財務省は事実上、機能不全状態に陥っていると言っても過言ではないだろう。

深刻なのは財務省が大きく揺らいでいることだけではない。佐川、福田両氏が職を辞しながらも、肝心の改ざんやセクハラ発言に正面から向き合おうとせず、省庁トップとしての説明責任を果たさないでいることだ。

同様の状態にあるのは財務省だけではない。加計学園の獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫首相秘書官や藤原豊内閣府地方創生推進室次長(いずれも当時)が否定している2015年4月の愛媛県職員との面会の事実や「首相案件」などの内容を県職員が詳しく書き記していたことを中村時広愛媛県知事が公表、柳瀬氏は国会に参考人招致されることになっている。

柳瀬氏は現在、経済産業省の経産審議官を、藤原氏は同省の官房審議官を務めている。

防衛省・自衛隊では昨年、陸上自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題で事務次官が事実上更迭されたが、その後、日報が発見され、現在はイラク派遣部隊の日報も見つかっている。

安倍晋三首相が昨年、衆院を解散する際に理由とした北朝鮮の核・ミサイル開発などの「国難」への対応に全精力を注がなければならないはずの防衛省・自衛隊は日報問題への対応に追われ、疲弊している。

一連の問題に共通するのはうそとごまかしである。自分たち、あるいは所属する省庁や安倍政権に都合の悪い事実からは目をそらすかのように否定、それができなければはぐらかす。

公表したくない文書は「無い」あるいは「捨てた」と言い、そう言えない場合は隠す、揚げ句の果ては改ざんする。

かつて、「うそは泥棒の始まり」ということわざの「泥棒」を「政治家」に入れ替えた風刺があったが、今は「官僚」が取って代わっている。

官僚組織トップによるうそやごまかしの横行が国家の一時的な運営を任されているにすぎない安倍政権どころか国家というシステムにダメージを与え続けている。

国民にとって究極の不幸は、そんな官僚の行動を閣僚、ひいては内閣が統制できていないことだ。このままでは機能不全が政府全体に広がりかねない。もはや安倍首相は稚拙な政権運営を続けた旧民主党政権を批判できる資格を失っていると言わざるを得ない。

問題の要因を省庁幹部の人事を一元的に管理する内閣人事局に求める声もあるが、むしろ安倍政権に忠実な人物を登用する運営の仕方の方にあるのではないか。

政府全体の威信が失われれば、信頼に基づいた民主主義というシステムを無視し、実力で事態を打開しようとする勢力が生まれかねないことは歴史や現在の世界情勢が証明するところだ。

そんな事態を招来しないようにする責務を政治家も官僚も強く肝に銘じてほしい。

2018 年
 4 月 24 日 (火)

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