2019年2月19日(火)

【いばらき春秋】

観光の形態の一つに「ダークツーリズム」という概念がある。戦争や災害跡地、公害など人類の負の歴史や死にまつわる場所を訪れることを指す。「悲しみの観光」とも呼ばれている

▼学術的には1990年代後半に英国の学者が提唱した。ポーランドのアウシュビッツ、ウクライナのチェルノブイリ、被爆地の広島、長崎、熊本県水俣市が代表的だ。復興ツーリズムも含まれる

▼東日本大震災後に、文化人らが東京電力福島第1原発周辺を観光地化する提言をし、日本でも知られるようになった。2013年のユーキャン新語・流行語大賞の候補に選ばれた

▼茨城大であったシンポジウム「戦争の記憶とその継承」で、筑波海軍航空隊記念館の金沢大介館長が「戦争体験者による語り部は高齢化が進んでいる。戦跡やミュージアムによる継承が大切になる」と指摘した

▼戦争記念館が全国各地で増えている現状を説明し、「観光だけであることは許されない。情報収集、検証、発信を高めないといけない」と強調していた

▼茨城大とその周辺は戦前、水戸衛戌地(えいじゅち)と呼ばれた旧陸軍の軍用地だった。近くの公園に水戸歩兵部隊跡のモニュメント、尼港(にこう)殉難者記念碑が並び立ち、ひっそりと戦争の記憶を伝えている。(清)

2019 年
 2 月 20 日 (水)

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