外国人入国制限、茨城の農業に影 最大1千万円減、例年通りの経営できない生産者 実習生いなくなれば廃業:茨城新聞

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2020年9月22日(火)
外国人入国制限、茨城の農業に影 最大1千万円減、例年通りの経営できない生産者 実習生いなくなれば廃業
人員不足、作付け縮小も


【写真説明】
羽部庄一さん方でキャベツの種まき作業に励む農業技能実習生=7月下旬、古河市高野



新型コロナウイルスの影響による外国人の入国制限が、茨城県の農作物生産に影を落とし始めている。受け入れ予定だった技能実習生の来日が見通せない中、出身国へ戻る実習生も増え、人員不足の懸念から生産時期を迎えた秋冬野菜の作付けを縮小する農業者が出始めた。人件費増や入国制限解除後の人員重複の可能性から、別ルートでの労働力確保も難しい。収穫繁忙期を前に「例年通りの経営ができない生産者が増えるのでは」と懸念を示す関係者もいる。

■2ヘクタール削減
「心配なのは、いつ(新たな実習生が)来るのか。いないと成り立たない。万が一、いなくなるときがくれば廃業するしかない」

古河市高野の羽部庄一さん(68)方は、ハクサイやキャベツ、リーフレタスなどの葉物野菜を中心に約15ヘクタールの農地で生産する。実習生不足を見込み、今後、作付面積を約2ヘクタール分減らす方針だ。「やむを得ない」と覚悟を決めた。最大1千万円の減収となる。

7月に入り実習生1人が帰国。普段は別の仕事をする妻が代わりを務めるが、慣れない作業が重くのしかかる。新たな実習生を確保できるかは不透明だ。羽部さんは実習生の存在の大きさを痛感した。

約20年前から農業技能実習生を受け入れ、生産技術を伝える代わりに、マンパワーを生かして生産規模を拡大してきた。4年前からは、インドネシアの実習生6人を受け入れていた。

■6千人超
技能実習制度は途上国に技術移転を図り、国際貢献に寄与する目的で創設された。農業技能実習生は高齢化や後継者減による人手不足を受け、実質的に農作物の生産現場を「労働力」として下支えする存在になっている。

茨城労働局によると、県内農林業に携わる実習生は6378人(2019年10月末時点)に上る。

このうち県内JAでは、7JAを通じて今年8月末時点で1041人を受け入れている。JA県中央会によると、入国制限の影響で新たに受け入れ予定だった175人が入国できていない。国別では中国が最多でベトナムが続く。実習期間を満了し帰国できていない実習生約100人のうち、主に中国出身者が9月に入り帰国し始めている。

■二の足
県内は産出額全国2位のハクサイやレタスをはじめ、チンゲンサイ、ミズナなど秋冬野菜の収穫が本格化する。人員不足を補おうと、実習生の受け入れ窓口となる「監理団体」や生産者は、昨年4月に新設された在留資格「特定技能」の外国人や、日本人の派遣採用などを模索する。

ただ、人件費が増加する要因になることや、受け入れ予定の実習生が入国できた場合は重複する懸念があり、各農家は二の足を踏んでいる。

古河市など県西地域がエリアのJA茨城むつみ(本店・境町)は、入国制限の長期化に備え、これまで実績のない国からの受け入れも検討する。

新たな受け入れは全ての国で4月以降止まっていたが、今後、カンボジアから数人が入国する見込み。ベトナムやタイの渡航制限緩和の動きもある。それでもJA中央会の担当者は「農繁期に実習生不在の農業者が乗り切れるかどうか。実習生の教育サイクルも崩れてしまう」と憂慮する。




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