2015年11月23日(月)

もんじゅ勧告 県内施設も足踏み 核燃料サイクル行き詰まり

存続・改造に多額費用

高速実験炉「常陽」の原子炉上部(左)。円形に書かれた床面の文字が初臨界を記念したマーク=大洗町成田町
高速実験炉「常陽」の原子炉上部(左)。円形に書かれた床面の文字が初臨界を記念したマーク=大洗町成田町

原子力規制委員会が高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)を運営する日本原子力研究開発機構(原子力機構、本部東海村)を「資質なし」と断じ、文部科学相に運営主体の変更を勧告した。新たな担い手探しは難航必至で、核燃料サイクル政策の中核だった「夢の原子炉」は存続の危機に立たされた格好。廃炉が現実味を帯びるもんじゅの影で、県内に立地する核燃料サイクル関連施設も先行きが見通せない状態だ。 (報道部・戸島大樹、東京支社・高岡健作)

■厳しい視線
「多額の金を掛けて造り直す合理的な説明ができるのか」

政府が11日に開いた中央省庁の事業の無駄を点検する行政事業レビュー。やり玉に挙げられたのが原子力機構核燃料サイクル工学研究所(同村村松)のリサイクル機器試験施設(RETF)だ。

もんじゅの使用済み核燃料を再処理する予定だったが、もんじゅ自体が動かないため、約800億円以上投入されながら工事は15年前に中断されたままとなっている。

文科省は新たに100億円を掛けて別目的の施設に改造する計画を示したが、批判が集中。結局、来年度の概算要求は撤回に追い込まれ、河野太郎行革担当相は「今後も原子力機構の予算は細かく見ていく」とくぎを刺した。

■製造したまま
同研究所にはもんじゅで使う核燃料を製造する施設、プルトニウム燃料第三開発室もある。

1988年に完成したが、トラブル続きのもんじゅの影響で、核燃料製造実績は90〜95年度までの6年間と、2008〜10年度の3年間にとどまる。

これまでに製造した核燃料366体の一部はもんじゅに陸上輸送したものの、残りはまだ東海にあり「もんじゅが運転再開の準備停止命令を受けているため持ち出せない」(原子力機構)状態だ。

核燃料に含まれるプルトニウム241の半減期は14〜15年で、時間経過に伴い燃料性能は落ちる。仮にもんじゅが運転再開にこぎ着けても相当な期間を要するため、東海に残る核燃料は無駄になる可能性も生じている。

■険しい再開への道
原子力機構大洗研究開発センター(大洗町成田町)には、もんじゅの前段階に当たる高速実験炉「常陽」がある。

発電設備はなく、プルトニウムを増やす「増殖」の研究は既に終了。高速中性子を使って高速炉用の核燃料や材料の照射試験を行う。「車で言えばエンジンの研究をする場所だ」(原子力機構)。

規制委の勧告について、同センター高速実験炉部の前田幸基部長は「もんじゅをやめろと言われたわけではない。常陽が抱えるミッションは変わらない」と強調する。ただ、常陽も07年に実験装置が故障して以来運転停止しており、再開への道のりは険しい。

原子力機構は、再開に向けた国の審査を16年度に申請する方針だが、空気と触れると燃える冷却剤のナトリウムが流れる配管は耐震補強が必要で、工事に時間がかかる。

常陽の原子炉格納容器の床面には77年4月の初臨界を記念し、ローマの哲学者セネカの詩の一節がラテン語で書き込まれている。

「かくも明白な事実を我々が今やっと経験したということを、子孫たちが驚く時が来るだろう-」

現行の軽水炉に代わり、エネルギー需要を高速炉が支える社会の到来を見据えたものだが、今回の勧告で実現は一段と遠のいた。

国策の下、約40年前に研究者たちが思い描いた「その時」は一向に見えてこない。

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