2015年12月24日(木)

中国「納豆ブーム」 県内業者 商機生かせず 原発事故で輸入規制

「茨城マルシェ」には数々の本県産納豆がそろう=東京都中央区、高岡健作撮影
「茨城マルシェ」には数々の本県産納豆がそろう=東京都中央区、高岡健作撮影

中国の「納豆ブーム」に県内メーカーがやきもきしている。東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故の影響で、中国が本県産納豆の輸入を規制しているためだ。中国の国内で流通している日本産納豆の多くは西日本のメーカーが製造したもので、国内で圧倒的な知名度を誇る本県の中小メーカーからは「納豆は茨城が本場で、しかも今が進出のチャンスなのに」と悲痛な声が上がっている。

「3年前に比べ、中国での売り上げは数倍に増えた」と、熊本県の納豆製造メーカー「丸美屋」の担当者。同社は、中国の大連市に所有する工場で、日本と同じ作り方で納豆を製造。「小売店だけでなく、インターネット販売などで、次第に商品知名度が上がってきた」(担当者)と、中国での販売に自信をのぞかせる。

中国での納豆消費量や日本からの輸出量に関する統計資料はないものの、全国納豆協同組合連合会(東京都)は、ブームのきっかけを「中国メディアが数年前に健康食品として納豆を取り上げたのが大きい」とみており、富裕層から中間層に裾野を広げているという。国内メーカーが現地生産した商品の価格は、中国企業の商品の約2倍。日本からの輸入品は、中国産の約5倍で販売されている。

■「今がチャンス」

中国は、原発事故から4年9カ月たった現在も本県産の全食品の輸入を禁止。日本では全国的な知名度を誇る本県の納豆だが、輸出したくてもできない状態だ。このため、中国で販売されている納豆の多くは、九州など西日本のメーカーの商品で、ブームを眺める県内メーカーの胸の内は複雑だ。

だるま食品(水戸市)の高野友晴専務は「中国で納豆が浸透し始めた今が進出のチャンス。中国の人たちも『納豆は水戸が本場』と知っている。輸出したいのはやまやまだが、輸入規制があっては…」とほぞをかむ。

■解除視野に準備

原発事故をめぐる中国側の輸入規制については、日中間で協議が続けられているが、本県産食品の規制解除の見通しは依然として明らかになっていない。

こうした中、金砂郷食品(常陸太田市)は、筑波大大学院を卒業予定の中国人留学生を採用した。中国市場への進出を視野にした人材確保の一環という。

永田由紀夫社長は「彼(留学生)の出身地・広州市だけでも人口は3億5千万人。進出は後発になるかもしれないが、国内需要も頭打ちの状態。規制解除後は直ちに進出できるよう準備だけはしておきたい」と話し、中国市場参入のタイミングに備えている。(大平賢二)

2016 年
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