2017年2月17日(金)

帰還少なく定住進む 茨城県への福島原発事故避難者

「隣接」「似た気候」一因

東京電力福島第1原発事故で福島県から県外への避難者が減少傾向にある中で、茨城県に避難している人たちは福島に帰還する動きが少ないと指摘されている。福島と隣接し、太平洋に面した気候も似ていることから、定住先とする人も増えている。避難者支援も新たな段階に入っている。

復興庁などによると、福島から県外への避難者は3万9818人(1月時点)で、昨年同月と比べて3452人減った。今年1月時点で茨城県には3702人おり、都道府県別で東京の5223人、埼玉の4029人に次いで多かった。1年前と比べ、東京や埼玉が400〜500人規模で減ったのに対し、茨城は22人減にとどまっている。

避難者が一時最多だった山形は、ピークだった1万3033人(2012年1月下旬)から今年1月には2652人まで減少。本県のピーク時(4023人)からの減少幅はわずか321人だ。

本県の避難者が減らない背景について、茨城大の原口弥生教授(社会学)は、避難指示区域からの避難者が多い本県特有の事情を挙げる。16年春に実施したアンケートでは、回答した避難者約340人の8割以上を占めた。

避難指示区域以外からの自主避難者は山形などに多かったが、今春で避難先住宅の無償提供が打ち切られる。一方、避難指示区域では避難長期化を見込んで帰還を断念する人も増えたという。

さらに、原口教授は本県について、福島に隣接し東京も近い▽人気が高いいわき市の住宅不足が深刻で、流入してきている-との事情も指摘する。

いわき市の女性は愛媛県に子どもと避難した後、夫がいわき市の勤務先に通えるよう、ひたちなか市に移った。別の避難先から本県に入る動きは今も絶えず、アンケートでは、本県内で生活を始めた時期を14年以降とした人が約4分の1を占めている。

また、避難者529人が住むつくば市では、家を持つ世帯が104世帯(2月現在)となり、1年前に比べて34世帯増えるなど、定住の動きも進んだ。

福島県富岡町に自宅があった男性は事故後、単身赴任先の神奈川県に妻を呼び寄せた。さらにつくば市に避難した友人から誘われ、16年1月に新居に移った。商業施設が近いつくば市の生活は便利で、避難者の交流サークルにも入った。ただ、妻は「近くに親戚がおらず、孤立しないか不安」と漏らす。

つくば市を中心に避難者の支援をしてきた団体代表の武田直樹さん(47)は「新たな住民として受け入れる姿勢も必要。戸別訪問などを通じ、避難者のニーズに対応したい」と話した。

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