2017年3月5日(日)

戦略的考えで古河選択 「公方」テーマに講演会

鎌倉国宝館学芸員・阿部さん 足利成氏の行動解説

講演する鎌倉国宝館学芸員の阿部能久さん=古河市横山町
講演する鎌倉国宝館学芸員の阿部能久さん=古河市横山町

室町時代から戦国時代にかけて東日本で事実上の「将軍」として君臨した鎌倉公方と古河公方をテーマにした講演会が、古河市横山町の地域交流センターで開かれた。土浦市出身で鎌倉国宝館(神奈川県鎌倉市)の学芸員、阿部能久さん(44)が、鎌倉から古河に逃げ落ちてきたと説明されがちな初代古河公方の足利成氏(しげうじ)の行動について「戦略的考えの中で軍事拠点として、積極的に古河を選び取った」と解説した。参加した市民約150人が熱心に耳を傾けた。

阿部さんは、室町幕府は南北朝の戦いのため、将軍家と血筋では遜色ない鎌倉公方に東日本での強大な権限を与えたことを説明。南北朝時代が終わるとともに幕府と鎌倉公方が対立するようになった経緯などを明らかにした。また鎌倉公方が、関東の寺社から保護者として支持を集めていた点を強調した。

鎌倉公方が存続した理由については「関東に根付いた信仰に近い意識」があったとし、古河は「膨大な直轄領があった。交通の要衝でもあり、成氏を支持する武士たちも北関東に多くいた」という。最後の鎌倉公方、足利持氏(もちうじ)が幕府との戦いに敗れた後も、その子の成氏が古河を拠点に体制を保った背景を解説した。

古河市内には現在も、古河公方にルーツを持つ寺社が残され、公方の御所跡は古河総合公園として整備されている。また同市出身の直木賞作家、永井路子さん(91)は鎌倉幕府の草創期を描いた小説「北条政子」「炎環」などの作品を発表。鎌倉市名誉市民となっている。現在、古河、鎌倉両市の関係をさらに深めようと、民間レベルで活発な交流が展開されている。

主催した市観光連絡協議会の岡本重男会長(73)は「古河と鎌倉の歴史的な関係の深さを再認識できた。ぜひ鎌倉と古河両市のパートナーシティー制度提携を実現したい」と話した。 (冨岡良一)

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