2017年3月14日(火)

障害者の「親なきあと」考える 福祉型信託活用を

行政書士の渡部さん講演 成年後見人制度の解説も

「親なきあと」をテーマに講演する渡部伸さん=水戸市千波町の県総合福祉会館
「親なきあと」をテーマに講演する渡部伸さん=水戸市千波町の県総合福祉会館

知的障害者の家族らでつくる県手をつなぐ育成会(矢野清会長)の本年度研修会が1日、水戸市千波町の県総合福祉会館で開かれ、「親なきあと」相談室主宰で行政書士の渡部伸さんが「障害のある子の家族が知っておきたい『親なきあと』〜『親あるあいだ』の準備」をテーマに講演した。


渡部さんは、障害のある子どもの親なきあとの課題について、(1)お金で困らないための準備(2)生活の場の確保(3)日常生活のフォロー方法-に集約できるとした上で、「障害基礎年金などの収入と、住居費、健康保険、介護保険などの支出を把握し、お金の残し方、管理方法を考えておくべき。ただ、親の生活も考え、身を削ってまで貯金することのないように」と訴えた。

親なきあとの生活を支える仕組みとして、遺言、福祉型信託制度についても解説。「親の死後、子どものために生活に必要な額を必要な時に給付する、福祉型信託制度などをうまく活用し、浪費のリスクを減らすことを考える。この制度では遺言ではできない、子どもの死後、残った財産の行方も指定できる」とした。

また、成年後見人を決定するタイミング、第三者に依頼する場合の費用、不正防止のための後見監督人についてアドバイス。「成年後見制度の理念はあくまでも意思決定の支援であり、判断の代行ではない。不正防止制度の効果も出ており、件数、被害額ともに減っている。第三者を後見人にする場合は費用が発生するので、親がまだ子どもの面倒を見られるのであれば、待っても良い」とし、「親の判断能力が衰えたときに備え、任意後見制度を活用し、子どもの後見人決定を契約内容に含めておくことも大切」と訴えた。

さらに「親自身も社会参加し、周囲が異常を気付けるよう、社会との絆、接点を持つことが重要。また、家族と親なきあとの話をしておく、ショートステイを利用し、1人暮らしの練習しておくこと」と具体的な準備作業について説明。渡部さんが、支援する側の立場、記入する親の立場を考えて監修したライフスタイルカルテ「親心の記録」の取り組みを紹介した。

最後に渡部さんは「全て完璧にする必要はないが、親が社会と接点を持つことが大切。気楽に構え、子どもの話をできる人をつくること。いざとなれば何とかなる」と締めくくった。

矢野会長は「今回の研修会は参加者が200人を超えた。『親なきあと』の問題について、障害者の親の関心の高さを物語っている。親の立場、目線で話をしてもらえた。組織につながっていれば安心でき、一人ではなく仲間がいることを知ってほしい」と研修会の意義や成果を語った。

(高橋玲嗣)

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