2017年3月20日(月)

水戸市が鳥インフル対策 千波湖・大塚池、「偽卵」で繁殖抑制

コブハクチョウの卵とすり替える予定の偽卵
コブハクチョウの卵とすり替える予定の偽卵

水戸市の千波湖や大塚池などで昨年12月以降、野鳥から相次いで検出された高病原性鳥インフルエンザウイルス。1月24日を最後に45日間新たな感染が確認されなかったことで、環境省による野鳥監視重点区域の指定が11日解除された。ただ、今後も感染の脅威は残るため、市は来年度、「偽卵」を使った野鳥の繁殖抑制に乗り出す。千波湖周辺などに生息するコブハクチョウやコクチョウの個体数を計画的に減らす方針で、新たな感染があった際に捕まえて隔離できるようにする。 (水戸支社・前島智仁)

■野鳥56羽感染

同市内では昨年12月、大塚池で回収されたオオハクチョウから同ウイルスが確認された。これ以降、1月24日までの間にコブハクチョウ30羽、コクチョウ14羽など、計56羽の野鳥から同ウイルスが検出された。

これを踏まえ、市は対策として、千波湖や大塚池周囲に整備されているジョギングコースへの立ち入り自粛や自転車乗り入れを禁止。千波湖内3カ所に設置された噴水の運転も中止した。コース内には消毒用の消石灰を散布するなど、感染拡大を防ぐ取り組みを続けてきた。

同重点区域の指定解除に合わせ、市はジョギングコースの立ち入り自粛などを解除したが、再び検出された場合の対応策は課題として残る。

特に、毎年2〜3月に開かれる「水戸の梅まつり」では、千波湖周辺の駐車場利用や食関連のイベントも開かれることから、発生時の迅速な対応は欠かせない。

■すり替え

市は今後の対策として、千波湖や大塚池に生息するコブハクチョウとコクチョウの管理に乗り出す方針を固め、2017年度当初予算案に700万円の対策費を盛り込んだ。

野鳥の会など専門家の協力を得て産卵場所を調査した上で、市は鳥獣保護法に基づく県の許可を受け、早ければ4月にも卵を石こう製の「偽卵」にすり替える作業に着手する。繁殖期は5月までとされ、この間にすり替え作業を行う予定。卵は処分し、個体数が増え過ぎないよう調整していく。市公園緑地課によると、野鳥への偽卵使用は全国でも例がないという。

偽卵は日立市の市かみね動物園でも約3年前、フンボルトペンギンの個体数管理に使用した。同園の正藤陽久獣医師は「繁殖を抑えるには効果的な対策。鳥類は卵を取り上げると再び産卵してしまうことから、個体数の管理には偽卵使用が有効」と説明する。

■シンボル

千波湖のコブハクチョウは1970年に姉妹都市の滋賀県彦根市から、コクチョウは78年に山口県宇部市から、それぞれ贈られたつがいが繁殖して増えた。80年代前半ごろまでは市が「羽切り」を行うなどして管理してきたが、個体数が増え過ぎ野生化した。

市公園緑地課によると、千波湖と大塚池でコブハクチョウとコクチョウは、鳥インフル発生前の昨年11月14日現在で計144羽が生息していが、感染拡大によって計82羽(5日現在)まで減少した。

市は今後の繁殖抑制で、「数年かけて計10羽程度」(同課)まで減らしていく考えだ。

同課は「千波湖のシンボルとして市民に親しまれ、観光誘客にも貢献してきた存在。ただ、ウイルス感染の恐れがある限り、(市が)管理できる状態まで減らさざるを得ない」としている。

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