2017年5月12日(金)

技能実習「介護」追加 外国人に熱い視線

受け入れ動き広がる

介護分野での担い手として期待される外国人技能実習生。国内での受け入れに向けた動きが進む=富山県内(JP TALK提供)
介護分野での担い手として期待される外国人技能実習生。国内での受け入れに向けた動きが進む=富山県内(JP TALK提供)

人材不足が深刻化する介護の現場で、外国人の受け入れに向けた動きが広がり始めている。新たな法整備で、外国人技能実習制度の対象職種に「介護」が追加されるほか、介護福祉士の国家資格を得れば日本で働くことが可能になるためだ。本来、技能実習制度は日本で学んだ知識や技術を自国の経済発展に役立てるのが目的だが、介護施設などの関係者からは、新たな「担い手」の確保策として熱い視線が注がれている。 (報道部・松崎亘)


水戸市でデイサービス施設を経営する鯉渕敦美さん(61)は1月、フィリピンで海外への人材派遣業を行う知人とともに日本語や日本式の介護技術を学ぶ学校を設立した。フィリピンの医療系大学2校と連携し、両大学の教室を借りて6月に開校する。

同校は4カ月半かけて、大学の看護科卒業生や介護士免許資格者など同国の若者を介護技能実習生候補として養成する。入浴介護など日本での介護に必要なノウハウを習得してもらい、将来的に介護施設などでの雇用につなげるのが狙い。

鯉渕さんは「日本の介護現場で人材の確保は急務。研修を積んだ技能実習生の需要は今後高まる。入国後のフォローまでしっかりとケアすることで、定着化を図りたい」と強調する。

■38万人不足
国内の介護現場の人材不足は深刻化している。厚生労働省によると、2025年に日本で約38万人の介護職員が不足するとされる。少子高齢化の進展で介護職に携わる人材の需要が高まる中、政府は、介護の現場で働く外国人の大幅増につながる外国人技能実習制度の適正化法と入管難民法の二つの法整備に乗り出した。11月1日施行の改正適正化法では、技能実習生の対象職種を拡大し、介護の仕事に就くことができるようになる。

同改正法では、劣悪な労働環境や賃金の不払いなどの問題に対応するため、実習生の受け入れ側にも厳しいチェックを求めている。国は1月に「外国人技能実習機構」を新設し、実習先の企業の監視態勢を強化した。優良企業と認定されれば、受け入れ期間を現行の最長3年から5年に延長できるメリットもある。

また、9月1日施行の改正入管難民法では、留学の在留資格で来日した人が国内の専門学校などで学び、介護福祉士の国家資格を取ると、介護の在留資格に切り替えて働けるようになる。

■日本語習得に重点
ただ、「言葉の壁」が大きなネックになるとみられている。介護を行う際、利用者や他の職員との意思疎通が欠かせない。コミュニケーション不足によるトラブルやサービスの質の低下を懸念する声も根強い。鯉渕さんらが設立した学校を経営するフィリピンの法人「JP TALK(ジェーピー・トーク)」が現地の若者6人に富山県内で試行的に介護実習を行った際にも、日本語能力が課題になったという。

こうした課題を踏まえ、同校の育成プログラムでは実技研修以上に、日本語能力の向上に力を入れる。基本的な日本語を理解できる基礎教育に200時間を充てるほか、日常的な現場で使用する会話コミュニケーションなどに520時間を割くなど重点を置いた。

鯉渕さんは「フィリピンの人たちは忍耐強く、日本人に対しても友好的。言葉の壁という最大の障壁を取り除けば、日本の介護現場でも活躍できる」と期待した。

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