2017年9月30日(土)

ムクドリ大群 追い払いは逆効果 ふんや騒音、自治体悲鳴

解決難しく、共存探る 土浦

隙間なく電線を埋めるムクドリ=土浦市港町のJR土浦駅東口
隙間なく電線を埋めるムクドリ=土浦市港町のJR土浦駅東口

初夏から秋にかけて市街地をねぐらとするムクドリの大群への対策に、自治体が頭を悩ませている。土浦市のJR土浦駅周辺では爆竹を鳴らして群れを追い払っているが、すぐに舞い戻ったり、音に慣れてしまったりと、いたちごっこが続いている。ふん害や騒音に住民から苦情も出ており、専門家は「ここ30〜40年来の課題」とした上で、「根本的な解決は難しい。ムクドリのねぐらを全て排除するのではなく、どこかを残して共存の方向性を探るべきだ」と提言する。 (土浦つくば支社・鈴木里未)

■推定で千羽
「キュルキュルキュルキュルルルキュルルルル」。午後5時半のJR土浦駅東口。市の推定で千羽を超えるとみられるムクドリの大群が空を旋回し、一斉にけたたましい鳴き声を上げる。

駅へ向かうサラリーマンらは、頭上を気にしながら足早に走り去る。しばらくすると、空を黒く覆っていた群れは、ねぐらとするロータリーのケヤキの木の中や電線へと降りた。

翌朝、ケヤキや電線の下はふんだらけ。風が吹けば地面に落ちた羽根が舞う。同市には「臭いがすごい」などの苦情が月に1〜2件ほど寄せられる。同市では2005年ごろからこうした群れが確認されていて、市民も半ば見慣れた光景となりつつあるという。

駅前でテナントビルを管理する会社の男性(35)は「ビルの玄関に羽根がたまって、毎朝掃除をしている。車にも落とされて大変だ」とこぼす。

長年ムクドリを研究している都市鳥研究会(事務局埼玉県)の越川重治副代表によると、ムクドリはそもそも、田畑で農業害虫を食べる「益鳥」として好かれていた。

ねぐらとしていた防風林や河畔林が減少し、全国的に1980年ごろから都市部に現れるように。天敵の猛禽(もうきん)類から身を守るため、駅前の街路樹などをねぐらとしている。

■一定の効果も
土浦市は初夏〜10月までの週に数回、爆竹やムクドリが危険を感じたときに発する鳴き声を流して追い払っている。しかし、「(飛来後すぐの)6月は驚いて来なくなるが、秋になると無視して木に止まっている」(同市環境保全課)と言い、効果的な策が見つかっていない。

取手、つくば両市ではムクドリが入れないよう街路樹をネットで覆ったり、拡声器で猛禽類の鳴き声を流したりして、数が減ったり来なくなったりと一定の効果は見られた。

しかし、越川さんは「隣の取手で追い出した後、ムクドリが天王台駅(千葉県我孫子市)に1万羽ぐらいわっと移動して来た」と指摘する。各自治体も「別の場所に飛んで行ってるだけで、根本的な解決にはなっていない」と口をそろえる。また「強い追い払いをすると、ケヤキから常緑樹や人工物へ、悪循環がどんどんつながる」と越川さんは説明する。

越川さんによると、ムクドリが特に好むケヤキの木は、10〜11月に葉が落ちる。本来ムクドリはこの頃、冬ねぐらの竹林へと移動していく。だがムクドリへ強い干渉を行うと、ケヤキからクスノキなどの常緑樹へ移る。そこでも追い払うと、電柱や看板といった人工物へ。樹木と異なり環境が変わらないことで、一年中休めるねぐらとして定着してしまうというのだ。

■適地に誘導を
根本的な解決策が見つからないムクドリ対策に、千葉県では被害が大きい市川市を中心に、周辺自治体で広域的な対策会議を計画しているという。同市自然環境課も「追い払いは拡散するだけで解決にならない。適地へムクドリを誘導したい」と打開策を探す。

越川さんは「自分の自治体から出て行けば解決したと思うが、別の場所へ行ってより事態を悪化させていることを頭に入れないといけない。ねぐらを全て排除せずどこかは残して、ムクドリとの共存の可能性を探るべき」と強調する。

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