2017年10月20日(金)

2017衆院選・課題を追う (5)
原発再稼働 避難、問われる実効性

来年11月に運転開始40年を迎える東海第2原発=東海村白方
来年11月に運転開始40年を迎える東海第2原発=東海村白方

「地震との複合災害を考えた計画じゃないのか」「もう『安全なものなんてできない』と県に報告するべきだ」

4日夜。常陸太田市の佐竹市民ふれあいセンターで市が開いた、日本原子力発電(原電)東海第2原発(東海村白方)の過酷事故に備えた避難計画の説明会。市民からは内容を疑問視する声が噴出し、住民の一人は市担当者に“白旗”を上げることまで促した。

人口約5万人の同市は本年度中の計画策定を目指し、既に避難先となる大子町や福島県内19市町村と協定を締結。来春にも避難先や注意点などを盛り込んだガイドマップを市民に配りたい考えだ。

東海第2から半径30キロ圏の14市町村は、県の広域避難計画に沿って個別の避難計画を作る必要があるが、策定を終えた自治体はまだない。30キロ圏人口が約96万人と全国最多で、県外も含めた避難先の調整に時間を要している。



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「市町村の模範」(自治体幹部)とされる県計画にも課題が多い。

現在の県計画は原発の単独事故を想定し、福島第1原発のような地震や津波との複合災害は考慮していない。このため県は、避難先が被災した事態に備え「第2の避難先」を確保しようと、8月末から他県との協議を始めた。

県の担当者は、第2避難先について「避難先の設定は広範囲のエリアとし、避難元となる市町村や具体的な行き先は事故時に決める形にしたい」とする。

避難者や車両が放射性物質で汚染されていないかを30キロ境界付近で調べる「スクリーニング検査」も検討中の段階。高速道路のパーキングエリアや公共施設など約20カ所の候補地を絞り込んだが、除染用レーンの規模などは未定で、ノウハウを持つ原子力事業者や自衛隊、消防などと勉強会を重ねている。

県原子力安全対策課の山崎剛・原子力防災調整監は「計画の完成に期限は設けない。住民の避難が安全に行われる『実効性』を確保したい」と話す。



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再稼働を巡る議論に「地元」の意見を反映させる枠組みも整っていない。

福島第1原発事故の被害が広範囲に及んだにもかかわらず、再稼働に関する事実上の同意を求められるのは現在も事故前と同じ立地自治体のみ。このため東海村や水戸市など立地周辺6市村は「安全協定」に基づく権限拡大を求めているが、議論は停滞気味だ。

背景の一つが再稼働に向けたスケジュールだ。東海第2は防潮堤建設などの安全対策工事が進んでおらず、首長側にも「再稼働の最終的な判断は数年先だろう」(自治体幹部)との見方が根強い。

ただ、議論の舞台が「地元」に絞られる日は着実に近づいている。東海第2は、再稼働の前提となる原子力規制委員会による適合性審査が、既に焦点だった地震や津波の議論を終えるなど大詰めを迎え、本年度中の「合格」も視野に入る。11月末には原則40年の運転期間の延長申請期限も迫っており、原電は現在、申請に必要な「特別点検」を進めている。 (戸島大樹)

(おわり)

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