2017年10月25日(水)

樹木に蓄積、放射性セシウム 5年かけ表層土に移動 筑波山や福島、雨や落葉で 森林総研

森林総合研究所が放射性セシウム濃度の土壌調査を行った=福島県大玉村のアカマツ林
森林総合研究所が放射性セシウム濃度の土壌調査を行った=福島県大玉村のアカマツ林

福島第1原発事故で森林に蓄積された放射性セシウムが、5年間かけて樹木の葉や幹から土壌表層へ移動してとどまっていたことが、24日までに森林総合研究所(つくば市)の研究で分かった。筑波山や福島県内の針葉樹、広葉樹林帯で調査し、長期的な放射性セシウムの動きを解明。筑波山のヒノキ林では木材利用や外部被ばくでの心配は低いとみられる。成果は被災地の森林管理や放射性物質の動態予測に役立てられる。研究成果は英国科学誌の電子版に掲載された。

調査は2011年8月、汚染程度の異なる福島県川内村(原発から50キロ圏内)、大玉村(100キロ圏内)、只見町(100キロ圏外)、筑波山(同)のスギ、ヒノキ、コナラ、アカマツの9カ所の林に調査地点を設けて行った。樹木(葉、枝、樹皮、幹)と土壌(落葉層、深さ5センチまでの表層土、5〜20センチの土壌)で放射性セシウムの濃度と蓄積量を調査。事故直後に樹木に多く付着していた放射性セシウムは、時間とともに雨や落葉で樹木から土壌に移り、表層土にとどまった。

このうち筑波山は石岡市柴内のヒノキ林1カ所で調査。放射性セシウム濃度が11年には葉で1キログラム当たり1930ベクレルだったのが15年には138ベクレル、枝は659ベクレルが116ベクレル、樹皮は1120ベクレルが250ベクレルにそれぞれ減少。一方、セシウム蓄積量は11年には樹木など地上部が32%だったのが15年には5%、落葉層が15%が7%に減ったのに対し、0〜5センチの土壌では43%が70%に、5〜20センチの土壌では8%が16%に増えた。

震災復興・放射性物質研究拠点の金子真司拠点長は「筑波山のヒノキ林の調査では木材利用は問題ないレベル。空間線量を見ても、除染が必要とされる地域と比べても低く、外部被ばくは気にする必要はない」と指摘した。

全体の成果は森林管理や、放射性セシウムの動態予測に生かすほか、林産品の出荷制限解除時期の推定、林業従事者の被ばく低減にも役立てられると期待される。金子拠点長は「森林の汚染マップを作って、森林内の立ち入りや滞在時間を管理することで、外部被ばく量を少なくすることができる」としながら、「放射性セシウムの半減期は30年と長いため、引き続き森林内での観測を続けていくことが重要」と説明した。(綿引正雄)

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