2017年11月15日(水)

古民家再生へ鑑定士 高齢者を対象に育成 観光活用、古河で本格化

古民家の調査方法を学ぶ古河市シルバー人材センターの会員ら=栃木県野木町佐川野
古民家の調査方法を学ぶ古河市シルバー人材センターの会員ら=栃木県野木町佐川野

古民家を再生して宿泊施設やレストランなどに活用する動きが広がっている。古河市の団体は、古い木材が使われている家屋の価値を評価する「古民家簡易鑑定士」の育成を、シルバー人材センターを対象に始めた。日本の伝統的建築を残すとともに、2020年東京五輪の訪日観光客を呼び込むなど地方の活性化につなげたい考えだ。

■増える空き家
「大黒柱は建物の中心にあり、ケヤキなどが使われます。こちらでは床の間に柿が使われています」

古河市に隣接する栃木県野木町の古民家「柿沼邸」で9日、古民家簡易鑑定士の実技講習会が開かれた。参加したのは同市シルバー人材センターに登録する14人。9月の講習会を経て、職業技能振興会(東京)が認定する資格を取得した。

柿沼邸の母屋は築101年。8畳間や回廊、地下室などがある。同町で現存する最古の民家の一つだが、十数年にわたり空き家となっている。県古民家再生協会(古河市小堤)の会員の説明を受けながら、参加者は雨漏りや虫害など20項目をチェックし、古民家の価値を判定していった。

古民家簡易鑑定士は2人一組となり、依頼を受けた古民家を簡易鑑定し、同協会に報告、報酬を得る。建築業界で施工管理に携わってきた同市幸町、佐々木粂昭さん(75)は「経験を生かし、古民家や古材を再生する力になりたい」と意欲を見せる。

■県内に5万棟
同協会は、築50年を超えた日本の伝統建築を古民家と位置付ける。時間の経過とともに強度が増す国産の自然乾燥材を使う。ただ、現行の建築基準を満たさないため、一度取り壊すと復元できず、貴重な木材も失う可能性がある。

同協会によると、県内の古民家は約5万棟あるという。桜川市真壁地区や石岡市八郷地区のほか、常陸太田市、結城市、古河市など農村地域や城下町で見られるが、少子高齢化の進展とともに年々、空き家が増えている。

同協会は、地域の住宅事情に詳しいシルバー人材を古民家簡易鑑定士として育成するとともに、各地に眠る古民家の情報を集めて再生を進める。同協会代表の山中美登樹さん(52)は「情報を活用して再生事業を加速させたい」と話し、古民家活用と高齢者の活躍の場提供につなげたい考えだ。

■講習会を順次
古民家簡易鑑定士の育成は、西日本を中心に13道府県で始まっている。本県では古河市に続き、下妻市に12月、支部が発足する予定で、講習会を県内各地で順次開く方針。

古民家活用を巡っては、政府も支援を強化する。同協会は8月、農漁村に観光客を呼び込む「農泊」事業などを後押しする農林水産省の支援事業に選ばれた。

山中さんは「歴史と文化のある古民家を本来の姿に戻し、一棟でも多く次世代に残したい」と話す。(溝口正則)

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