2017年11月29日(水)

行方、学校統合完了 地域づくり、再出発

郷土教育や交流に力

地元の農水産業や少子高齢化問題などについて調査発表する児童たち=行方市内宿
地元の農水産業や少子高齢化問題などについて調査発表する児童たち=行方市内宿

県内で少子化による学校統合が進む中、行方市は昨春、学校等適正配置計画による小中学校の統合を完了し、学区の拡大などを踏まえた新たな地域づくりに乗り出している。地域と子どもとの交流や廃校舎の利活用など、学校統合後の将来を見据えた取り組みを探った。 (行方支局・三次豪)

■7割「良かった」
同市は、まず2011年に麻生小など3校を統合し、昨年4月の津澄、要、武田の3校統合による北浦小学校誕生で配置計画による市内小中学校の統廃合が完了した。小中学校は従来の22校から7校となった。

同市教育委員会は9月、市内の子どもと保護者を対象に「学校統合をどう受け止めているか」についてアンケートを実施。学校を統合して「良かった」との回答が約7割に上った。小規模校から大規模校になり、「以前より勉強をするようになった」とする回答も多かった。

今月24日の総合教育会議では、非常勤講師の配置や学校支援ボランティア、隣接型の小中一貫教育など、配置計画完了後の取り組みについて発表があった。同市の正木邦夫教育長(66)は「前向きな成果が出ている。以前は県平均を下回っていた学力も向上してきた」と強調した。

■廃校舎を活用
学校の統廃合が完了して1年半。これまで同市と市教委はさまざまな取り組みを進めてきた。

北浦小では、学区の広がりによって郷土愛が薄れることを懸念し、郷土教育の実践に力を注ぐ。児童が農水産業など地元の基幹産業や伝統行事を調査。少子高齢化問題なども絡めて、市の将来像について思いを語る発表会も行った。

スクールバスを地域で供用する取り組みも始まった。遠距離通学者の増加で台数が増えたことから、登下校時以外の時間帯に地域住民のために活用。第1号は市役所麻生庁舎から土浦協同病院なめがた地域医療センター間で運行している。

廃校舎の活用も先進的だ。旧大和三小校舎と周辺の耕作放棄地は、全国展開の菓子製造会社とJAなめがたの協力で、体験型農業テーマパーク「なめがたファーマーズヴィレッジ」に生まれ変わった。県内外から多くの観光客が訪れるにぎわい拠点となっている。旧津澄小は、幼稚園や教育相談所のほか、市内の古文書などを集めた歴史資料室として機能している。

■地域のつながり
積極的に子どもたちに関わろうとする地域住民の動きが活発化してきた。スクールバス通学が増え、住民が子どもたちと接する機会が減ったためだ。

太田小が統合されてなくなった後、旧同小学区の住民が一丸となって「ふれあい祭り」を立ち上げた。子どもみこしが地域の集会所などを練り歩き、ステージ上で繰り広げられる催しに、世代を超えて笑顔が広がった。

また、市内の絵画愛好グループ「北英エコー会」も、絵画を通じた児童たちとの交流会を開いている。

旧太田小学区の矢幡地区青年団長、小貫正敏さん(46)は「子どもたちとの触れ合いがなくなり、地域の高齢者たちは寂しがっている。何とか地域のつながりを取り戻したかった」と話す。

学校統合の背景には少子化や人口減少などの問題があり、決して明るいイメージばかりではないものの、同市の鈴木周也市長(45)は「学校統合は、地域の結束力やコミュニティー力を高めるきっかけとなる可能性がある」と期待している。

★行方市の学校等適正配置計画
少子化に伴う児童生徒数の減少、小中学校の小規模化などにより、2007年度に策定。児童生徒のための望ましい環境づくりや教職員の指導体制充実、地域間の連携・交流の推進などを含め、学校経営健全化などの課題克服に向けて計画された。

全国・世界のニュース

2017 年
 12 月 17 日 (日)

メニュー
投稿・読者参加
サービス