2017年12月7日(木)

新洪水浸水想定区域 12市町、庁舎水没も 防災拠点、対策急ぐ

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「最大規模の降雨」を想定した新しい洪水浸水想定区域図で、県内12市町の役所・役場庁舎が同区域に含まれ浸水する恐れがあることが分かった。2015年の関東・東北豪雨では常総市役所が水没し、機能不全に陥った。各自治体は防災拠点としての機能を保てるよう、重要設備の浸水防止や災害対策本部の移転先探しなどに乗り出している。

ゲリラ豪雨など局所的な大雨の増加を踏まえて15年に水防法が改正され、従来の想定を大きく上回る「千年に一度程度」の最大規模の降雨への対応が新たに盛り込まれた。

本県関係の河川の新たな想定区域図が9月末までに全て出そろったのを受け、役所・役場庁舎が浸水する可能性がある県内の市町村と洪水が起きた場合に想定される水深を、国土交通省の各河川事務所と県に照会した。

災害時に対策本部が置かれる庁舎が浸水エリアに入るのは、水戸▽土浦▽古河▽龍ケ崎▽常総▽常陸太田▽坂東▽茨城▽大子▽河内▽五霞▽境-の12市町。県南・県西地域の自治体が大半を占めた。

河川別では、利根川が氾濫した場合が5市町と最も影響が大きく、次いで小貝川が3市町だった。八間堀川や涸沼川など県管理の河川でも土浦市や茨城町など4市町の庁舎が浸水する可能性がある。

利根川が最大規模の降雨(72時間で491ミリ)で氾濫した場合に想定される水深は、境町役場が約7メートルで、五霞町役場は約3・6メートルに達する。想定水深が3メートルを超える自治体はこの2町に加え、水戸や土浦など計7市町ある。
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鬼怒川の堤防が決壊した関東・東北豪雨では、常総市役所が約80センチ冠水した。屋外の電源施設と停電時の命綱である非常用電源も水没。職員や避難者約千人が取り残された上、電話や公用車も使えなくなり初動対応が遅れた。

市は水害後、電源設備を高さ2メートルのコンクリート壁で覆い、庁舎出入り口には浸水を防ぐ高さ約1メートルの防水板を設置できるようにした。担当者は「電源と2階以上が使えれば、対策本部の機能はある程度保てる」と話す。
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教訓を生かす動きは他市町村にも広がる。利根川から約500メートルの境町役場は現在、庁舎脇に高さ約15メートルの水害避難タワーを建設中。地下にある非常用電源を今後はタワーに移す。対策本部の移転先も隣接する坂東市内の高校も含め2カ所確保した。

水戸と土浦、坂東の3市は新庁舎の建設・移転に合わせ、地盤のかさ上げや非常用電源の屋上への設置で水害に備える。常陸太田市も本年度、敷地内に新たに架台を造り電源設備の場所を高くする。

昨年新庁舎が完成したつくばみらい市役所は、庁舎自体は浸水区域の外だが、小貝川の氾濫を念頭に建物や非常用電源の設置場所をかさ上げ。高台にある小学校を対策本部の移転先に決めた。

一方で平坦な低地が広がる河内町の担当者は「想定ではひとたび川が氾濫すれば町内の大半が浸水する。町内だけでは避難先や移転先の確保も難しい」といい、具体的な水害対策は今後検討するという。

各市町村は現在、見直し後の想定区域図を基に新たな洪水ハザードマップの策定を進めている。常総市の担当者は「役所が安全とは限らない。マップを基に避難先や避難時の行動を確認しておいてほしい」と呼び掛ける。 (戸島大樹)

★洪水浸水想定区域図
洪水で大きな損害が予想される特定の河川について、複数の決壊箇所を想定して最大の浸水エリアを計算し、洪水浸水想定区域として国や県が指定する。想定される水深や水が引くまでの時間などと合わせて想定区域図として公表される。

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