2017年12月25日(月)

つくば特区、県など計画 健康物質含むトマト栽培

甘味作用のタンパク質 量産技術確立目指す

筑波大が開発したミラクリンの遺伝子を入れた国産トマト
筑波大が開発したミラクリンの遺伝子を入れた国産トマト

つくばの最先端科学技術を生かし新産業創出を目指す「つくば国際戦略総合特区」で、県などは新たに、健康増進に効果的な物質を含むトマトを栽培するプロジェクトを追加した。糖質の摂取制限につながる「ミラクリン」と呼ばれる物質を国産トマトに入れ、大量生産する仕組みを開発するのが狙い。

新プロジェクトの事業主体は、筑波大と、理化学研究所の植物開発の技術を提供する理研発ベンチャー「インプランタイノベーションズ」(本社横浜市)の2者。期間は本年度から2020年度までの4年間。

プロジェクトでは、「ミラクルフルーツ」と呼ばれる西アフリカ原産の植物に含まれるミラクリンの大量生産を目指す。ミラクリンは酸味を甘味に感じさせる味覚作用を持つタンパク質で、カロリーはほぼゼロ。極微量の0・1〜0・2ミリグラムの摂取で1〜2時間、甘味が持続する。砂糖や人工甘味料に代わり、糖質の摂取制限につながり疾病予防や健康増進に役立つ物質として、期待される。

ミラクルフルーツは熱帯産で国内での大量生産は難しいのが現状。筑波大は、ミラクリンの遺伝子を遺伝子組み換え技術によって、栽培が容易な国産トマトに入れることに世界で初めて成功し、特許を取得した。今後、ミラクリンを含むトマトを大量かつ安定的に生産する技術をインプランタ社と共に確立し、遺伝子組み換え食品としての国内初の認可を目指す。

最終的にはトマトをパウダーにして商品化する技術を開発する。年間50トンの同トマトを生産・加工できるプラントの整備を想定。経済効果は約50億円を見込む。

特区では、規制緩和や財政・税制面などでの支援措置を受けられる。遺伝子組み換え植物は、開発の段階や利用の目的に応じて、文科、農水、環境といった各省庁が認可のための審査を行うが、手続きを簡素化できるよう申請する。現在、2年ほどかかる新規食品などの安全性審査を早める要望も行う。

プロジェクトを主導する同大の江面浩教授は「生活習慣病になる前に、食生活を改善することに貢献できる。日本でうまくいけば、世界にも市場を広げられる」と説明している。

同特区は県と筑波大、つくば市、つくばグローバル・イノベーション推進機構が主体となり、次世代がん治療(BNCT)の開発実用化などのプロジェクトを進めている。今回のプロジェクトは9件目となる。特区は12〜16年度の期間が延長され、本年度に20年度までの次期計画がスタートした。(綿引正雄)

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