2018年1月4日(木)

東京の顔に稲田石 笠間の特産、石畳に採用

市長もPR、再興へ期待

JR東京駅丸の内側に完成した稲田石の石畳=東京都千代田区
JR東京駅丸の内側に完成した稲田石の石畳=東京都千代田区

笠間市特産の稲田石が東京の顔に-。2017年12月にオープンしたJR東京駅丸の内側(東京都千代田区)の広場に、広範囲にわたって稲田石の石畳が敷設されている。需要縮小に悩まされる高品質の御影石(花こう岩)で、かつては日本橋、最高裁など数々の著名な建造物に用いられた。今回受注した稲田石材商工業協同組合の友常卓理事長は「稲田石再興の起爆剤になってほしい」と期待を寄せる。

■品格ある通路
東京駅丸の内口から続く優雅な白い石畳。駅正面の皇居へ向かう馬車道としても使われる、品格ある通路だ。同市稲田地区で産出される稲田石が、約85メートル(幅約20メートル)にわたり敷かれている。厚み8センチ、重さ120キロの石板が3千枚以上使われた。

稲田石は黒雲母の比率が低く「日本で最も白い御影石」(同組合)ともいわれる。生成時期が6千万年前と比較的新しいために硬く、酸に強いケイ酸分が77%含まれていることから、耐久性にも優れる。

6割を同組合、4割を業者単位で受注し、15年末までに納品した。受注を巡っては、14年に明らかになったJR東日本の駅前広場整備計画を踏まえ、同組合と同市が連携。同社を複数回訪問して稲田石を売り込み、山口伸樹市長のトップセールスも行った。

石畳を視察した山口市長は「石が輝いて見えた。市民として誇らしい」と感慨深く語る。

■発展と衰退
稲田石は120年ほど前から盛んに切り出され、東京の発展を支えた。

明治・大正期は日本橋、警視庁本館、靖国神社本殿、戦後は都電の軌道敷石、衆議院会館、皇居宮殿、最高裁など著名な建造物に使われた。東京駅舎の基礎材や窓枠にも用いられ、同駅との縁は深い。

品質に加え、東京に近いことが需要を押し上げた。産地の同市稲田地区は石職人の街として発展し、一時は映画館が2館も開業。1970年ごろには同組合関係者だけで千人以上おり、にぎわいをもたらした。

近年は建材としての石離れ、安価な中国産材の台頭、バブル崩壊の影響などで需要が落ち込み、衰退の一途。関係者は現在300人ほどまで減った。

■売り込み好機
2020年東京五輪を控え、玄関口でもある東京駅のひときわ目立つ場所に稲田石が敷かれた。一方で、石材を使用した明治期以降の建造物が老朽化し、改修を見据えた売り込みの好機を迎えている。

「再び日の目を見た思い。アピールに生かしたい」と友常理事長。同組合と連携する市商工観光課は「東京駅で使われているのをほとんどの人が知らないので、市関連のパンフレットなどに積極的に載せたい」と具体案を掲げる。

山口市長は「さまざまな施設に顔を出したい」と、今後もトップセールスをいとわない。東京駅を出発点に、関係者たちは一丸となって稲田石再興を目指す。 (今井俊太郎)

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