2018年2月21日(水)

結城紬「糸取り」育成 生産組合が道具やDVD貸与

原料確保、初心者広く募集

「糸つむぎ」の熟練の技を学んだ説明会=結城市国府町
「糸つむぎ」の熟練の技を学んだ説明会=結城市国府町

結城市特産の高級絹織物「結城紬(つむぎ)」を守ろうと、生産組合が「糸つむぎ」の人材育成に乗り出す。結城紬の生産は全工程が分業で、中でも真綿から指先で糸を引き出す技術者が減少、原料不足が深刻化している。「このままでは産地の維持が困難」として、初心者用の道具や手引きのDVDを貸すなどして、居住地や年齢を問わず、糸取りの後継者を広げたい考えだ。


結城紬は、絹の華やかさを抑えた渋みのある風合いが特徴で、糸をよらないため、軽く、独特のぬくもりがあり、高価な織物となっている。

約40の工程を全て手作業で行う。中でも、真綿から糸を引き出す「糸つむぎ」▽染料が付かないよう図案に従って糸を部分ごとに綿糸で縛る「絣(かすり)くくり」▽腰をつりながら織る「地機(じばた)織り」-の3工程を要件に1956年、国の重要無形文化財に指定された。2010年には国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録された。

結城紬の反物の生産数は年々減少し、ピーク時の10分の1まで落ち込んだ。1反に必要な糸を確保するには60日間ほど必要とされるが、賃金は生活を保障するほどではなく、後継者は減少している。

本場結城紬原料商共同組合によると、40年前は1万人いた紡ぎ手は、今では200〜300人。鈴木孝一理事長(61)「近年は注文があっても糸が足りず、すぐに織れない」と話す。

このままでは産地の維持が困難として、生産者、卸商、検査機関の5組合が協力。国や市の補助金を活用し、初心者用として、糸つむぎに必要な道具のセットを新たに作った。

セットは、真綿を掛ける「つくし」と呼ばれる道具類▽真綿▽糸の見本▽手順をまとめたDVD▽解説書-を一式として、計50セットを用意した。県内外の希望者に貸し出し、郵送などでやりとりする。

紡いだ糸は、本場結城紬検査協同組合が重さや長さを厳格に検査し、品質に応じて買い取る。初心者が細く均一に紡ぐのは難しいため、最初は着物ではなく、帯への使用を想定する。ただ、人によっては半年ほどで細い糸を紡ぐ人もいるという。

講習会を前に9日、糸つむぎセットの説明会が結城市で開かれ、山形や長野を含む県内外から女性26人が参加した。

紡ぎ歴40年の伝統工芸士、植野智恵さん(70)は「私たちも最初からできたわけではない。結城紬を残すため協力してほしい」と呼び掛け、熟練の技を披露した。千葉県市川市の女性(43)は「伝統文化の危機的状況を感じた。少しでもお手伝いしたい」と話し、熱心に学んだ。

講習会は21日から3月まで計8回、結城市で開く。技術指導をはじめ、結城紬の歴史的背景も伝える。

本場結城紬卸商協同組合の藤貫成一副理事長は「よりのない絹糸は世界の織物の中でも珍しく、大きな魅力。伝統を理解して協力してもらいたい」と呼び掛けている。 (平野有紀)

■産業と文化均衡を 文化庁 

結城紬は「糸つむぎ」を含む3工程を要件として、国の重要無形文化財に指定されている。

今回の取り組みについて文化庁伝統文化課の担当者は「結城紬には地域の暮らしの中で生まれ、長い間、コミュニティーの中で培われた技術のほか、形として目に見えない背景がある」と指摘。「担い手がそうしたものに意識的になり、受け継いでいくことを忘れてはならない」と話し、取り組みに理解を示すとともに、産業と文化双方のバランス保持に期待する。

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