2018年4月15日(日)

情報社会の未来問う 水戸芸術館で企画展

芸術家8組 ロボット、映像で表現

人間と人工知能の関係に着目したセシル・B・エヴァンスさんの「溢れだした」(2016年)=水戸市五軒町
人間と人工知能の関係に着目したセシル・B・エヴァンスさんの「溢れだした」(2016年)=水戸市五軒町

高度に発達し続ける情報社会の諸問題をテーマにした企画展「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」が、水戸市五軒町の水戸芸術館で開かれている。コンピューターがより身近になり、人工知能(AI)や仮想通貨など新しい技術が組み込まれた現代社会に、世界を舞台に活躍するアーティスト8組が問いを投げ掛ける。同館の山峰潤也学芸員は「テクノロジーの発達は社会を便利にする半面、危険性を併せ持っている。人間社会の未来を考えてほしい」と呼び掛ける。

タイトルの「ハロー・ワールド」は、情報工学が新しい未来を切り開くという肯定的な意味で用いられてきたが、今展では、ネット社会の発達で起こる監視社会化やAIの負の側面などを、芸術家の視点で捉え直している。

作品はそれぞれキーワードを持つ。2017年に世界のアート界で最も影響力のある人物に選ばれたヒト・シュタイエルさん(ドイツ出身)は、監視社会の怖さを描く。映像で画像や情報処理の技術を用いた隠れ方を紹介するが、デジタル環境においてネットワークの監視下から逃れられないことを示唆している。

人間と人工知能が共存する未来に目を向けたセシル・B・エヴァンスさん(米国出身)「溢れだした」は、壁に大型モニターを張り巡らせた会場で劇を繰り広げる。ロボットとモニターが演じるパフォーマンスによって、テクノロジーが人の感情に与える影響をあぶり出している。

日本人男女2人によるユニット「エキソニモ」は、新作を含む3作品を出品。2人は日本のインターネットアートの第一人者で米ニューヨークを拠点に活躍する。人物の顔が映るモニターが重なり合っているだけなのに、キスをしているように見える。同じ行為をしながら人気者とそうでない者の会員制交流サイト(SNS)上の映像を対比させている。「データ上は同じだが違うものに見えるのは、人間の脳が勝手に思っているだけ。情報機械に対し、人の感情がどう動くかがテーマ」とメンバーの千房けん輔さんは説明し、「ソーシャルメディアという表面だけ見て世界を認識している状況を示唆している」と指摘する。

谷口暁彦さんの「address(アドレス)」は、監視カメラの映像で撮影した写真作品。ウェブ上のアドレスだけで風景や部屋の中を、所有者がセキュリティーをかけていないがために、不特定多数の人が見ることができてしまう事実を伝えている。

同展は5月6日まで。4月19日午後3時から学芸員によるギャラリーツアー、30日午後2時から出品作家の谷口さんらによるアーティストトークを開く。若手作家の新作を中心に紹介する企画展「クリテリオム93 益永梢子」も同時開催。入場一般800円。16、23、5月1日休館。問い合わせは同館(電)029(227)8111
(大貫璃未)

エキソニモの展示室にはコードが敷き詰められている=水戸市五軒町
エキソニモの展示室にはコードが敷き詰められている=水戸市五軒町

全国・世界のニュース

2018 年
 4 月 21 日 (土)

メニュー
投稿・読者参加
サービス