2018年5月2日(水)

値上げか据え置きか 県内納豆メーカー コスト増のはざまで苦悩

「企業努力は厳しい」 「消費者離れる恐れ」

納豆の価格競争が進んでいる食品スーパー=水戸市内
納豆の価格競争が進んでいる食品スーパー=水戸市内

大手納豆メーカーが今春、相次ぎ値上げに踏み切っている。原料の大豆や資材の高騰に加え、人件費や物流コストの上昇も続いているためだ。県内では大手に足並みをそろえる動きがある一方、「消費者が離れかねない」と慎重姿勢を崩さないメーカーもあり、コスト増に伴う価格転嫁のはざまで頭を抱えている。


納豆メーカー最大手のタカノフーズ(小美玉市)は4月、27年ぶりに「極小粒ミニ3」「おかめ仕立てミニ3」など5商品の値上げに踏み切った。5月1日には「旨味(うまあじ)かつおミニ3」を含む5商品の出荷価格を上げた。

ミツカン(愛知)も「くめ納豆」「金のつぶ」など、人気シリーズ計10商品を6月から値上げする。同社は「製造コストの高騰を吸収するべく努力を重ねてきたが、企業努力では吸収しきれない厳しい状況」とする。

いずれも、値上げ幅は10〜20%。原料の大豆やパックなどの包装資材価格が高騰していることに加え、物流コストや人件費の上昇が影響している。

▽競合店の状況で

大手メーカーが値上げに踏み切る中、約30種類の納豆を取り扱う水戸市内の食品スーパーでは、4月以降も小売価格を据え置いた。男性店長(53)は「値上げするタイミングは、周辺にある競合店の状況を見て判断したい。それまで店の利益を削るしかない」と話す。

納豆は安価で健康的な食品として人気が高い。全国納豆協同組合連合会(東京)によると、業務用を含む2017年の納豆消費額は過去最高だった16年を上回る2313億円。近年は健康志向の高まりを受け、「納豆の価格は客足に影響するので、価格競争は激しい」(男性店長)という。

夕食の買い物に来たという水戸市の主婦、皆川綾子さん(75)は「朝食に出すので、週に1回は必ず購入している。少し高くなっても買い控えることはない」とする一方、「さまざまな商品が高くなっているので家計には厳しい」と表情を曇らせた。

▽苦しい胸の内

県内中小メーカーは価格の転嫁に頭を悩ませている。ひげた食品(土浦市)は「(生産コスト面で)ずっと我慢の状態が続いているが、値上げすれば消費者が離れてしまう恐れがある。もう少し様子を見ていきたい」と、慎重な姿勢を崩さない。

一方で創業70年の老舗、だるま食品(水戸市)は大手と足並みをそろえ、今秋にも値上げに踏み切る。原料の県産大豆や輸入大豆の仕入れ値は10年前に比べ20〜50%ほど上昇しているといい、容器などの資材費や人件費、輸送コストも年々かさんでいたことから値上げを決断した。

県納豆商工業協同組合によると、13年3月に26社あった県内の納豆メーカーは、18年3月には19社に減少。いずれも高齢化に伴う、後継者不足などが要因だという。高野正巳理事長は「利益が出なければ後継者も現れない」と苦しい胸の内を明かした。 (前島智仁)

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