2018年5月8日(火)

茨城県立歴史館 公文書保存9万点 未整理資料の確認、補修

知事、詳細なデータ化指示

明治時代から現代までの公文書が保存されている県立歴史館の書庫=水戸市緑町
明治時代から現代までの公文書が保存されている県立歴史館の書庫=水戸市緑町

森友、加計学園問題や自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)などで注目を集めている公文書(行政文書)。茨城県でも旧優生保護法下の障害者への不妊手術に関する個人記録が1月に見つかっていたのに4月まで公表が遅れ、課題が浮かび上がった。県立歴史館(水戸市緑町、山口やちゑ館長)は県関連の公文書約9万点を保存し、未整理資料の内容確認や補修、製本を日々行っている。行政運営の指針となり、事案完結から30年後には一般にも公開される公文書。「茨城の歴史の宝庫」とも言える同館をのぞいてみた。(報道部・黒崎哲夫)

■資料の山

県立歴史館は古文書のほか、明治初期から現代までの公文書9万518点を保管している。県の公文書は毎年、段ボール箱で2千箱近く発生し、2017年度は同館職員が県庁に出向き1133箱分を確認、うち3割超を一時保存とした。書庫には開封を待つ文書が山のように積み重なる。

文書はホチキスを外し、アイロン掛けなどを経て表紙を付け、検索用のデータベースに登録している。

国に先駆け、県は1971年、文書整理保存規程を定めた。2014年度に一部改正し、各課が重要度に応じて文書の保存期間を定め、重要情報が記録された「歴史公文書」は同館に移管すると明記した。

■活用

非公開資料も行政の担当者は閲覧可能だ。東日本大震災や15年9月の関東・東北豪雨の際、県職員が過去の事例を探ろうと、同館の資料をあさった。

大震災で国特別史跡・弘道館(水戸市)が被災した際は、過去の資料を基に復元。福島第1原発事故の風評被害対策では東海村臨界事故(1999年)の対応が参考にされた。

近年、電子化された文書をどう扱い、保存するかが課題となっている。現在は同館も関与し保存するかどうかを選んでいるが、「電子化から10年を超すデータはない」といい、対応はまだまだ手探りだ。会議のペーパーレス化は加速しており、4月24日からは県幹部が出席する庁議も紙の資料を原則なくし、パソコンやタブレットで見ながら議論が進められている。

■公開

同館では、閉架資料のうち、事案完結から30年以上経過した公文書約4万4千点は、一般市民も無料で閲覧できる。資料が傷むためコピー機による複写は禁じられているが、カメラによる撮影は可能だ。

同館によると、90〜2017年度に最も閲覧された公文書は119回の「陸軍将校名簿(一)」(1953年9月)。25回の「各鉄道敷設願関係書類(三)」(1896年10月〜1900年)が続く。鉄道マニアが関係文書を探るケースが多く見受けられるという。

幾つかの冊子をとじて製本された公文書は、背表紙の表題がデータベース化され、インターネットで検索できる。ただ、冊子の中身までは検索対象に入っていない。旧優生保護法関連文書の公表が遅れたのを受け、大井川和彦知事はより詳細なデータベース化を指示した。

本県自治体では同館のほか、常陸大宮市が文書館を整備している。

茨城大の古屋等教授(憲法・行政法)は、参院議員を務めた岩上二郎元知事が中心となり公文書館法(88年施行)が議員立法されたことに触れ、「公文書は民主主義の基盤。本県はなおさらその意義が重視されなければいけない」と強調。「出張に行っても領収書がなければカラ出張と疑われてもやむを得ない」と公文書の持つ意味を領収書に例え、「公務員にとって公文書は行為の正当性を説明する重要な手段」と解説する。

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