2018年5月9日(水)

水戸-台南 深まる交流 住民守った日本兵が縁

はんてん寄贈、霊堂で祭り

はんてんを感慨深く見つめる(左から)稲葉佳正さんと鬼沢慎人さん、阿波屋の小松崎清さん=水戸市内
はんてんを感慨深く見つめる(左から)稲葉佳正さんと鬼沢慎人さん、阿波屋の小松崎清さん=水戸市内

台湾・台南市で戦時中、住民を守り「神」として祭られる水戸市出身の旧日本軍パイロット、杉浦茂峰兵曹長を懸け橋に、両市の人々の交流が深まっている。日本の関係者が2015年、現地にみこしを贈ったのに続き、この春、みこしを担ぐ際に着るはんてんが完成、再び奉納された。企画した関係者は「台南と水戸の関係がより一層深まれば」と話す。


杉浦兵曹長は1944年、日本の統治下だった台湾の海軍航空隊に所属。米軍機をゼロ戦で迎撃した際に被弾した。急降下する先に台南の集落があるのを見た杉浦兵曹長は、住民を守るためとっさに回避し、機銃掃射を受けて戦死したと伝えられる。

その後台南の住人は杉浦兵曹長をたたえる霊堂の「飛虎将軍廟(ひこしょうぐんびょう)」を建設。今も地元の守り神として祭っているという。

日本と台南の関係が深まったのは2015年。全国で講演活動をしている三重県伊勢市の会社経営、中村文昭さん(49)が霊堂を訪れた際、信徒から「飛虎将軍が乗る日本式のおみこしが欲しい」と求められた。全国の知人らから支援を集め、同年3月、現地にみこしを贈った。

その後、「水戸のはんてんがあればより良いのでは」との中村さんの提案に応え、中村さんの知人でいずれも県内在住の会社経営、稲葉佳正さん(46)、鬼沢慎人さん(56)、藤田和久さん(65)がはんてんの作製を企画。クラウドファンディング(CF)も活用して資金を集め、水戸市本町の阿波屋染物店(小松崎清店主)に製作を依頼、20着を作った。

はんてんは杉浦兵曹長が乗ったゼロ戦をイメージさせる深緑の地で、背中に「水戸」、襟部分に「飛虎将軍」の字を入れた。同霊堂を含む周辺の廟の祭りが4月27日に台南市で開かれ、日本からも約70人が参加。贈られたみこしとはんてんを使って盛大に祭りが行われた。

14年に杉浦兵曹長のエピソードを知ったという稲葉さんは「古里の先輩が台湾で大切にされていることに心を打たれた。はんてんの奉納が日本と台湾の友好がずっと続くきっかけにできたら」と話した。(小原瑛平)

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