2018年5月17日(木)

【リポート】 わら納豆推進協 わらつと供給拡大へ

本年度 作付面積、加工を倍増

わらつと納豆向けの稲わらを加工する障害者福祉施設の利用者=水戸市元石川町
わらつと納豆向けの稲わらを加工する障害者福祉施設の利用者=水戸市元石川町

将来的な生産継続が危ぶまれている本県名産の「わらつと納豆」を守ろうと、水戸市は原料となる稲わらの生産支援を拡充する。市やメーカーなどが昨年度に発足した「わら納豆推進協議会」は本年度、作付面積や加工を倍増、4年後には12万本の供給を目指す。伝統的な土産品の生産存続へ向け、安定した原料の確保体制を加速させていく。(水戸支社・前島智仁)


ゴトン、ゴトン、ゴトン-。水戸市元石川町の障害者福祉施設「たけのこ」では、昨年11月から敷地内の加工場で脱穀機の稼働音が響く。市内の農業生産組合から運び込まれた稲わらを加工し、納豆を包む「わらつと」に仕上げるため、毎日6〜8人の施設利用者らが汗を流す。

納豆向けのわらは、真っすぐで70センチ程度の一定の長さなどが求められる。このため、加工場ではわらの分別や付着物除去などの処理を行い、一定量を結束して納豆メーカーへ納入している。1日当たりの生産量は約500本に上る。

坂場浩子施設長は「わらつとの加工作業は利用者に人気が高い。自分たちで加工したものが製品として店頭に並ぶので、達成感にもつながっている」と話し、さらなる加工増強に意欲を見せる。今後、脱穀機や結束機を増やすことにより増産も可能だという。

■初年度は4万本

市は2017年度、市内の納豆メーカーや障害者福祉施設、農業生産組合とともに「わら納豆推進協議会」を発足。稲わらの生産や加工に必要な設備の購入費用を、市が補助する仕組みを整えた。

農業の機械化で、質の良い稲わらの確保は困難になりつつある。農業用機械で収穫すると、多くが粉砕されてしまうためだ。収穫後の稲わらをおだ掛けしたり、農業用パイプハウスなどで丁寧に乾燥させたりしてきた農家は、高齢化により減少傾向が進んでいる。

こうした背景を受け、協議会は初年度となった昨年、約1ヘクタール分に作付けしたコシヒカリの稲わらを確保し、わらつとへの加工を進めている。たけのこでは昨年収穫分の稲わらで、約4万本分を加工する予定だ。

■4年後に3倍

2年目を迎え、本年度は作付面積を2倍の2ヘクタールに増やし、最大8万本分のわらつと生産を目指す。市農政課は「今後も年々収量を増やし、4年後には12万本分を供給できる体制を整えたい」と意気込む。

県納豆商工業協同組合によると、水戸市内のメーカー4社でつくるわらつと納豆は年間で約100万本に上る。このうち約1割を協議会から供給していく計算だ。稲わらの加工業者からメーカーに供給されるわらつとは年々減少傾向にあることから、協議会による生産で補いたい考えだ。

高野正巳理事長は「農家の高齢化による離農で、わらつと納豆生産に対する将来的な不安は大きい。水戸の伝統的な食品であり土産品を残すため、協議会の仕組みを継続、拡大していかないと」と話した。

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