2018年5月17日(木)

小美玉で市民団体発足 さまよう美術品救え

保管・展示「廃校利用を」

4月15日に小美玉市内で開かれた「全日本美術家作品保存協会」の設立総会(同協会提供)
4月15日に小美玉市内で開かれた「全日本美術家作品保存協会」の設立総会(同協会提供)

行き場のない高価な美術作品を後世に残そうと、小美玉市の美術関係者らが任意団体を立ち上げ、行政に廃校の美術館利用などを働き掛けている。市文化協会副会長の吉沢春峰さん(70)らで、4月15日に「全日本美術家作品保存協会」(会員数26人)を設立。理事長に就いた吉沢さんは「作家が生涯の情熱と思いを傾けて描いた作品を預かり、その功績を長く伝えていきたい」と語り、NPO法人格の取得を目指している。


「作家に万一のことがあったとき、美術作品は一般廃棄物として処分されてしまっている。救済の手段も全くない」

活動のきっかけは2016年4月、市内で開かれた勉強会。美術作品の悩ましい現状を知る講師が「美術館などに購入される作家は極々一部。ほとんどの作家は手元に作品が残る。寄贈も難しい」と訴えた。背景には日本特有の事情がある。美術作品を購入し、見て楽しむという風習が広まっていない。

吉沢さんが講師の話を耳にした時、脳裏に浮かんだのが小中学校の統合計画だ。少子化の影響で市内にある小学校8校は2023年4月までに閉校し、統合小や小中一貫校になる。「廃校を借りられれば、作品の保管や展示ができるかもしれない」。早速、市や市教委などに団体設立の必要性などを説明して回った。

吉沢さんは同時に、「廃校を美術館にすれば観光ルートの一つになる。雇用も生まれ、まち起こしにもつながる」と観光促進や地域振興を掲げ、廃校利用を働き掛けている。

事情を知った市内の画家や書家、写真家らも団体設立の趣旨に賛同。発起人が徐々に増え、4月15日の設立総会にこぎ着けた。準備に約2年。副理事長には画家の飛沢行雄さんが就いた。

肝心の廃校利用はまだ白紙状態だが、作品の受け入れを本格化。団体の事業方針の中で、対象を200号以下の絵画や書道作品と定めた。受け入れるのは公募団体の入選作品や、個展を開いて20年以上の作家の作品。会派は問わない。1号当たり100円の負担を保管料と運営費に当て、作品の貸し出しや販売も行う。すでに約280作品を受け入れ、関係者の倉庫などに保管している。

吉沢理事長は現在、11月のNPO法人化を目指し、準備を進めている。「小美玉を芸術のまちにしたい。今後も会員を増やし、廃校の利用を根気よく働き掛ける」と意欲を燃やす。(勝村真悟)

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