2018年6月24日(日)

タコ高騰 日欧争奪戦 県内業者、対策に苦心

西アフリカ産、消費拡大

値上がりする西アフリカ産タコ=ひたちなか市沢メキ
値上がりする西アフリカ産タコ=ひたちなか市沢メキ

「庶民の味」として親しまれるタコが値上がりしている。国内消費のほとんどを占める西アフリカ産が高騰しているからだ。欧州の消費増をはじめ、世界的にタコが食べられるようになってきており、争奪戦の様相を呈している。県内業者は別の産地を模索したり、試食会で消費者に売り込んだりして値上がり対策に苦心している。


5月下旬、那珂市菅谷のスーパー「かわねや菅谷店」。鮮魚売り場には西アフリカ・モーリタニア産の蒸しマダコが並ぶ。値段は100グラム当たり398円で1パック800円前後。担当者によると、モーリタニア産の売価は昨年100グラム当たり298円で、100円安かった。買い物客の女性(83)は「普段からもっとタコを食べたいけど、高いのよね」と話し、手が出ない。

▽米国でも好まれる
国内で消費されるタコの約半数は輸入物で、多くがともに西アフリカのモーリタニア産とモロッコ産。高騰による消費者離れを防ごうと、同店では、足の本数を減らしてパック売りを安くしたり、カルパッチョなどに総菜加工したりして提供。さらに比較的安い本県・久慈浜産のミズダコを売り場のメインに据えてみたものの、「いろんな取り組みをしているが、前に比べて売り上げが追い付かない」と担当者は肩を落とす。

高騰の背景には、欧州の消費拡大がある。タコ料理が欠かせない地中海沿岸国へのバカンスが人気となり、観光客によるタコの消費が増えているという。また「デビルフィッシュ」と呼ばれ、これまで敬遠されていた米国でも好んで食べられるようになった。欧州でタコを加工し、米国に輸出する量が増えている。

水産物卸売業の茨城水産(水戸市)の担当者は「アメリカでは、タコを食べる習慣のあるヒスパニック系移民の影響がある」と指摘する。

水産物パワーデータブック(水産通信社)によると、モーリタニア産とモロッコ産の合計輸出量は2010年が日本向け約2万7千トン、欧州向け約3万5千トンだった。16年は日本約3万2千トン、欧州約5万9千トンとなり、日本と欧州の差が広がっている。

モーリタニア産の冷凍タコで見ると、現地機関が決める買い付け価格は右肩上がり。今年は1匹800〜1200グラムの大きさのタコが1トン当たり平均1万2050ドル。13年の5800ドルに比べると、5年で倍以上に値上がりしている。

水産物卸売業の常洋水産(水戸市)の担当者は「日本は欧州に買い負けている状態。今の店頭価格は赤信号に近い」と危機感を抱いている。

▽販促や取引先開拓

ひたちなか市は蒸しダコの加工業者が10社ほどある盛んな地域。原料の値上げで業者も対策を打つ。

「小沼源七商店」では県内外の取引先スーパーに出張し、買い物客に試食してもらう販売促進に力を入れる。小沼順一郎店主は「納得してくれれば買ってもらえる。値段なりにクオリティーを高め、価格に対する消費者の不安を取り除きたい」と語る。

「あ印」は新たな取引先を開拓。15年にインドネシアでタコ加工の設備提供や技術支援を行い、今年から現地産シマダコの輸入を本格化させた。シマダコを使った総菜商品の開発も強化する。同社の鯉沼弘之専務は「従来の刺し身だけでなく、女性や子どもにも気軽に手を取ってもらう食べ方を提案しないといけない」と話す。 (斉藤明成)

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