2018年7月7日(土)

松本死刑囚ら刑執行 涙枯れ果てない 坂本弁護士妻の両親 複雑な心情吐露

オウム真理教元幹部の死刑執行について思いを語る大山友之さん(左)とやいさん=ひたちなか市
オウム真理教元幹部の死刑執行について思いを語る大山友之さん(左)とやいさん=ひたちなか市

教祖は沈黙を保ったまま最期を迎えた。「国家転覆」を図り、6500人以上の被害者を出した未曽有のテロ。オウム真理教の松本智津夫死刑囚(63)ら7人の刑が、6日執行された。教団への強制捜査から23年。「死刑が良かったのか分からない」。遺族は亡き家族に祈りをささげながら、複雑な心情を吐露した。事件の核心に迫れず、無念さをにじませる関係者もいる。


「自然と涙が流れる。涙が枯れ果てることはない」。オウム真理教に殺害された坂本堤弁護士=当時(33)=の妻、都子さん=当時(29)=の両親は亡き娘家族を思う一方、「死刑が良かったのか分からない」と、複雑な心情を吐露した。

「亡くなったのですか?何て言っていいのか…」

死刑執行の一報に、都子さんの母、大山やいさん(83)は、ひたちなか市の自宅でため息をついた。

自宅には音楽が流れていた。「さみしくて、レコードをかけると気持ちが落ち着くから」。

毎朝、都子さんらに線香を上げる。「娘は多くの人に見守られて逝ったんだと、考えを変えて生きていこうと思っていた」。これまで周囲に事件のことを口にせず、涙を見せないよう努めてきた。

「誠実な子どもだった」とわが子を思う。自宅の仏壇にあるはずの都子さん夫婦と孫の龍彦ちゃん=当時(1)=3人の写真は、箱の中にしまってある。見るとつらくなるからだ。

教団元幹部の死刑が確定しても、執行されない状態が続いた。「麻原を生かしておくのがいいのか」。そう思う一方で、「私は死刑を喜ぶ人間ではない」。怒りや悲しみとは違う複雑な気持ちにさいなまれた。

夫の友之さん(87)は事件の手記を出版。関連記事などをまとめた冊子を編集してきた。

多くの命を奪った教団だが、死刑の是非について、はっきり言えない。「殺してやりたいと自分の中で何度も言ってきた。死刑執行は当たり前と本当は言いたいけれど、良かったという思いはない」

坂本弁護士は1987年4月、横浜法律事務所に。89年、出家のため子どもが家出した親の相談に「同じ思いをしている人がいる。会としてやったら」と助言したことから、同年10月「オウム真理教被害者の会」が発足した。家族3人が横浜市の自宅で襲われたのは、そのわずか1週間後だった。(斉藤明成)

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