2018年7月16日(月)

ドローン3次元測量、GPS自動制御 建設ICT導入進む 人手不足打開目指す

トプコンの関東トレーニングセンタで行われた建設ICT体験会=行方市玉造甲
トプコンの関東トレーニングセンタで行われた建設ICT体験会=行方市玉造甲

深刻化する職人や技術者らの人手不足を補おうと、茨城県の建設業界で情報通信技術(ICT)を活用する動きが加速している。小型無人機ドローンによる3次元測量や、衛星利用測位システム(GPS)などを使った自動制御の重機など、「建設ICT」は限られた労働力でも生産性向上が期待できる。国土交通省関東地方整備局発注のICT工事は、1都8県の中で茨城県の件数が2016年度から2年連続で最多。県も昨年、県建設業協会とスクラムを組んで協議会を設立し、本格的な支援に乗り出した。(報道部・三次豪)

■環境の利

「ICTを今やらない選択肢はない」。県土木部の担当者は力を込める。

人口減少や少子高齢化による人手不足は建設業界でも喫緊の課題。道路などインフラの老朽化や自然災害の頻発に伴う復旧復興工事の増加などを背景に、国交省は16年、生産性向上プロジェクトを打ち出した。その代表例の一つが建設ICTだ。土木工事を手始めにICT活用工事を増やし、25年までに建設現場で2割の生産性向上を目指すとしている。

本県は、河川整備や宅地造成など平たん地の土木工事が多く、ICTを取り込む“環境の利”に恵まれている。県はモデル工事の発注と、建設ICT導入の費用対効果について検証を始めた。「まだ模索の段階」(県担当者)というが、モデル工事発注件数は、16年度3件から17年度12件と増えている。

■研修施設も開設

建設、測量業者向けのICT研修施設「関東トレーニングセンタ」が6月、行方市に開設された。精密機器メーカーのトプコン(東京)が、ICT工事の件数が多い本県に注目し、全国4カ所目、関東地方で初めての大規模な現場サイトを持つ研修施設をつくった。

レーザースキャナーやドローンなど最新の測量機器を使った計測から、ICT施工システムを搭載した重機の操作まで、幅広いトレーニングができる。地元企業向けの体験会も開かれ、研修の受け入れも始まっている。

県建設業協会も本年度、独自にICT土工研修を始めた。日立建機ICTデモサイト(ひたちなか市)などで、会員企業の技術者たちが最新技術の習得に汗を流している。

■二の足踏む中小

人手不足解消の“切り札”として国交省が普及拡大へ音頭を取る建設ICTだが、高額な初期投資を理由に、導入に二の足を踏む中小企業もまだ多い。

「時代の流れについていかなければならないが、ICTは決して安い買い物ではない。費用対効果を考えると、簡単には導入できない」。県内のある建設業者は悩ましい胸の内を明かした。自社で測量用の3Dスキャナーを近年購入したばかりで、「ICT導入は同業他社の動きを慎重に見定めながら検討したい」と話す。

10年後には3人に1人が60歳以上の超高齢化社会を迎えるとされ、熟練の職人や技術者らの人手不足は、建設業界にとって手をこまねいてはいられない。

県建設業協会の幹部は「小規模工事でもICTを活用する流れになってきており、ICT導入の備えが必要。ほかの県に後れを取らず、先んじて時代に適応しなければいけない」と気を引き締める。

★建設ICT

建設土木工事の調査・測量から設計、施工などの工程で、衛星利用測位システム(GPS)や無線LAN、インターネットなどの情報通信技術を活用し、高効率・高精度の施工により生産性向上や品質確保を図るシステム。

最近の記事

全国・世界のニュース

2018 年
 8 月 22 日 (水)

メニュー
投稿・読者参加
サービス