2018年9月13日(木)

常陸大宮・舟生地区 「国体カンナ」再び光

前回大会の子孫健在 44年、住民ら命つなぐ

舟生寿会の高齢者たちが前回の茨城国体で植えたカンナの子孫を咲かせ続ける=常陸大宮市舟生
舟生寿会の高齢者たちが前回の茨城国体で植えたカンナの子孫を咲かせ続ける=常陸大宮市舟生

常陸大宮市舟生の花壇に、今年も真っ赤なカンナの花が咲きそろった。1974年茨城国体を盛り上げるために植えられ、その後も球根を株分けしながら44年間、市内各地で咲かせ続けてきた子孫だ。赤色は74年大会の「水と緑のまごころ国体」のテーマカラーの一つで、真心を意味する。住民らは来年の茨城国体で全国の選手を真心を込めて歓迎しようと、なぎなた競技会場の近くでカンナを咲かせてもらいたい意向で、「国体カンナ」の広がりを期待している。

■球根譲り受ける
花壇は国道118号の脇道沿いの山方公民館舟生分館近くにある。地元の高齢者クラブ「舟生寿会」が、美和地域の高齢者クラブから球根を譲り受け、2012年から栽培している。「当初、国体の花とは知らなかった」と会長の神長重忠さん(90)。「カンナは背が高く、花が大きいので見応えがある。(国体カンナと)分かってからは、さらに大事にしようと思った」と話す。

当時の記録によると、県は国体開催を機に美しい環境づくりを推進するため、「花いっぱい運動」を展開。1972年度からの3年間、全市町村にマリーゴールドやサルビア、コスモスなどの種子を配布。カンナは1万株の球根を配った。

■重労働で減少
美和地域も沿道に花を植えて大会の盛り上げに努めた。終了後もカンナは株分けされ、各地区で高齢者クラブなどが栽培し続けた。

だが、カンナは熱帯原産の植物で寒さに弱く、冬の寒さが厳しい県北山間地域では、地中に残したままでは枯れてしまう。このため球根を掘り起こし、新たに深く掘った穴に埋めて保存しなければならなかった。高齢者には重労働で栽培する地区は減っていった。

美和地域の「高砂会」は2年前に栽培をやめた。前会長の木村輝男さん(79)は「先輩から国体で植えたカンナと聞かされ、10年以上前から育ててきた。でも、会員も年を取り、手間がかかるのでやめた」と話す。各地区で引き継がれてきた国体カンナの栽培は現在、舟生地区だけとなった。

■競技会場でも
舟生寿会は、草花クラブの14人が毎年11月、花壇近くの遊休地に深さ60センチの穴を掘り、球根を埋めて高く土をかぶせて保存。6月ごろに掘り出して、株分けした新しい球根約100株を花壇に植えてきた。同クラブ代表の木村均さん(70)は「雑草を抜いたり、肥料や水まきなど手入れが大変」と話す。

カンナは8月中旬に咲き始め、10月中旬まで花を楽しめる。副代表の小野瀬博さん(71)は「枯れて摘み取れば、新しい花芽があり、次々に咲く。9月末ごろは見事に赤い花が並ぶ」と説明する。来年の国体で同市はなぎなた競技の会場となる。競技は9月29日から3日間、西部総合公園体育館で行われ、カンナの見頃と重なる。同クラブによると、カンナは一つの球根から新しい球根が2、3株でき、来年には約300株近くなるという。

現在、花壇がある脇道は、人通りもほとんどなく、目にする市民は少ない。3人は口をそろえた。「半世紀近く咲き続ける貴重なカンナ。競技会場近くに植えて咲かせれば、全国から集まる選手を歓迎するおもてなしになる」 (蛭田稔)

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