◆2022年 3月◆

意外性と作画力の高さ

今月は、雪景色や春の兆しが感じられる風景、スナップなど、171点の応募がありました。

最優秀賞は綿引勝春さんの「樹勢回復」です。何を建設している工事現場かと思ったら、足場が掛けられているのは大きな桜の木。まず、その意外性に驚きました。主役が木だと分かると、今度は足場に渡された踏板が木の枝の一部に見えてくるから不思議です。この作品には、見る人におやっと思わせる魅力があります。余計なものを一切省いた構図や、作業をしている人を上手に配して画面の中にリズムをつくり出している点にも、作者の作画力の高さを感じます。

優秀賞には平沢徳孝さんの「竜神雪景」と溝口一郎さんの「世界遺産富士山を望む」が選ばれました。「竜神雪景」は、雪化粧した竜神ダムの美しさがストレートに伝わる作品です。早朝、雪の降った後の山道を展望台まで登ったのでしょうか。青味がかった色調と、精緻な描写が美しさを際立たせています。

「世界遺産富士山を望む」は、薄暮に映える富士山と紅白の光跡。ライトアップされたかすみがうら市歴史博物館、牛久大仏のシルエットを取り入れ、本県から遠望した世界遺産を印象的に表現しました。露出のバランスも見事です。(写真映像部)



「樹勢回復」 綿引勝春(大子町)
キヤノン18~200ミリ f16 1/320秒 ISO800=福島県矢祭町




「竜神雪景」 平沢徳孝(常陸太田市)
ニコン850 28~300ミリ f16 1/15秒 ISO100=常陸太田市


「世界遺産富士山を望む」 溝口一郎(行方市)
キヤノン 100~400ミリ f11 63秒 ISO100=行方市




「土浦千輪」 大和田健(筑西市)


「只今、化粧中」 川村昇司(水戸市)


「夕陽を受けて」 大山等(小美玉市)


「暁に憩う」 村山進(高萩市)


「春日和」 鈴木治雄(常陸大宮市)


「静寂」 夕田盛利(鹿嶋市)


「夕照」 島田良治(日立市)


「氷の造形」 望月森雄(常陸大宮市)


「大寒禊」 田上勤(城里町)


「春を待つ野焼き」 古谷宣夫(つくば市)

2022年 3月