台風19号 ソバ、柔甘ネギ、ハクサイ 収穫目前に大打撃:茨城新聞

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2019年10月17日(木)
台風19号 ソバ、柔甘ネギ、ハクサイ 収穫目前に大打撃
農家「言葉出ない」


【写真説明】
久慈川近くの畑で、ソバの実を手に取るJA常陸アグリサポートの菊池正志さん。ソバは泥水をかぶり、今年の収穫を諦めた=16日午後3時15分、常陸太田市松栄町、鹿嶋栄寿撮影



台風19号に伴う浸水被害が相次いだ本県で、農産物への影響が深刻化している。収穫を控えたソバやハクサイ、地理的表示(GI)保護制度に登録された「柔甘(やわらか)ねぎ」など被害が拡大した。9月の台風15号による被害から追い打ちをかけられる形となり、農家は落胆を隠せない。

■「完全に赤字」
久慈川の堤防沿いに広がる常陸太田市松栄町で、ソバ畑が無残な姿をさらしていた。浸水被害で泥をかぶり、倒伏していた。「言葉も出ないよ」。この畑を手掛けるJA常陸アグリサポート(常陸大宮市)の菊池正志統括部長(61)は肩を落とした。

ソバ畑は同社が常陸太田市内で生産する約60ヘクタールのうち33ヘクタールが水没。出荷最盛期を目前に控え、台風15号の強風で収量減少が見込まれている中で事態は悪化した。被害を受けたソバの処理にも人手がかかる上、復旧に必要な資材の出費も重なる。菊池部長は「完全に赤字」と嘆く。

菊池部長が最も懸念するのは高齢農家の離農だ。「農機具が水に漬かってしまったことで、農業をやめてしまわないか心配だ」と眉をひそめる。

■GI登録の矢先
氾濫や決壊に見舞われた那珂川と藤井川に挟まれ、3日間にわたり浸水が続いた水戸市岩根町の農地。ようやく水が引いたビニールハウスの中で、生産者ら6人が、12月に収穫を控えていた柔甘ねぎの洗浄作業に追われていた。

柔甘ねぎは昨年2月、GIに登録されたばかり。今回、浸水被害が続いた飯富や岩根、国田などの地区が主な産地で、約25トン分が水没した。

「ブランドとしてやっと確立した矢先のことだっただけに残念」。JA水戸の水戸地区ネギ生産部会長を務める園部優さん(63)は唇をかんだ。ネギは1〜2週間で外側の葉がむけ、新たな葉が生え替わる。ただ、「根が駄目になっていたら再生はできない。3日間も水に漬かってしまったので、どうなるのか」と、再生の可能性に望みを懸けた。

■3億円超
16日現在で3億円超と、ハクサイは推計被害額が最も大きい。県内有数の産地である結城市では、鬼怒川河川敷にある畑が13日に浸水。15日まで水が引かない所もあり、長時間水に漬かった影響は免れない。このほか、河川敷ではネギやレタスなども栽培されていたが、流失したり、泥をかぶったりする被害に遭った。

JA北つくば結城園芸部会秋冬白菜部長の浜野公男さん(54)は、河川敷の約40アールで、来春に収穫するハクサイを栽培。9月下旬に苗を植え、30〜40センチほどに育っていたが「半分以上が駄目になってしまった」とため息を漏らす。

11月に本格的に収穫が始まる別の畑のハクサイも暴風により横倒しになった。地面に触れている部分が傷むと出荷できず、浜野さんは「これから葉が丸まって身が入る時期なので、がっかり」と沈痛な面持ちで話した。(長洲光司、小野寺晋平、前島智仁)




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