映画「バイバイ、ヴァンプ!」に「差別的だ」批判の声 吸血鬼にかまれると同性愛者に… ロケ地・境町にも飛び火:茨城新聞

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2020年2月20日(木)
映画「バイバイ、ヴァンプ!」に「差別的だ」批判の声 吸血鬼にかまれると同性愛者に… ロケ地・境町にも飛び火

境町などで撮影され、ヴァンパイア(吸血鬼)にかまれると同性愛者になるという設定の映画「バイバイ、ヴァンプ!」に対し、「差別的だ」などと批判の声が上がっている。作品の製作委員会は「同性愛を差別する作品ではない」と説明しているが、批判はロケに協力した同町にも飛び火。県内の性的少数者(LGBT)の当事者は「不快な表現のオンパレード」と指摘する。

映画は茨城県の私立高校が舞台で、吸血鬼にかまれた生徒が同性愛者になる設定。主人公の男子生徒が吸血鬼と戦う中で愛の多様性を学ぶ姿を描く。作中で「同性愛は快楽で、愛ではない」「死んでもそっち(同性愛)には行かない」などの表現があった。

監督はテレビドラマ「チーム・バチスタの栄光」などを手掛けた植田尚氏。撮影は2018年7月、境町を中心に古河市や坂東市でも行われた。橋本正裕町長も本人役で出演し、エンドロールでは「協力」として境町や町観光協会が紹介されている。

今月14日の公開後、インターネット上を中心に「当事者を傷つけ、偏見を助長する」などと批判が続出。公開中止を求める署名活動も始まった。境町フィルムコミッション(FC)にも会員制交流サイト(SNS)を通じて批判が寄せられたが、担当者は「ロケ支援がFCの業務。内容は事前に把握したが、演出にまで口を出せるものではない」と話す。

批判を受け、製作委員会は同日までに、ホームページ上に「同性愛を差別する作品ではありません」とするコメントを掲載。「愛とは自由であり、人それぞれの愛が尊重されるものであるというテーマのもと製作されました」と説明し、「作品はそのテーマをエンターテインメントな作風で描いているため、一部の方に誤解や混乱を招いた事をお詫び申し上げます」としている。

「多様な性を考える会にじいろ神栖」代表でゲイを公表する神栖市の声楽家、河野陽介さんは実際に作品を鑑賞。「当事者が嫌がる表現はものすごく多い。『目覚める』『走る』など、その言葉の裏には無自覚の差別心がある」と語った。

一方で河野さんは「公開中止まで求めるのはどうか。当事者が見るには覚悟が必要だし、子どもにも見せたくない。ただ、非当事者には差別や偏見について考える教材にしてほしい」と付け加えた。

性的少数者への支援を巡っては、県が19年3月に男女共同参画推進条例を一部改正し、差別的扱いを禁じる規定を追加。同7月には都道府県として初めてパートナーシップ宣誓制度を導入した。

レズビアンを公表する水戸市議の滑川友理さんは「良い流れで来ていた中で、こういう形で茨城が注目されるのは悔しい」と語った。(戸島大樹、高岡健作)




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