
【映画】
芳根京子&高橋海人、役を超え「君で良かった」と実感 二人三脚で紡いだ“ふたつの人生”【インタビュー】
俳優の芳根京子が主演、King & Princeの高橋海人(※高=はしごだか)が共演する映画『君の顔では泣けない』が14日より公開される。作家・君嶋彼方氏のデビュー作を実写化し、15歳から30歳までの間、入れ替わったままの男女が歩む人生と葛藤を丁寧に描き出す今作。これまでにない“入れ替わりモノ”で高いハードルを感じながらもともに「燃えた」という2人が、支え合い、乗り越えた撮影期間を振り返った。
【写真】芳根京子&高橋海人の撮り下ろしソロショット
物語の始まりは高校1年生の夏。プールに落ちたことがきっかけで体が入れ替わってしまった坂平陸(芳根)と水村まなみ(高橋)は、180度生活が変わってしまい、クラスメイトとの会話ひとつをとっても戸惑いだらけ。そんな中でも“坂平陸”として生きるまなみは、流れに身を任せて初めての彼女を作ったり…とそつなく過ごしており、そんなまなみに陸はやきもきしながら学生生活を送っていた。
そこから15年、一度も元に戻ることのなかった2人。高校時代、陸にプロレス技をかけてじゃれていた田崎とまなみの外見である陸の、初々しくもぎこちない初恋など、彼らにしかわからない秘密を共有しながら、30歳までさまざまな出来事を経験していく。そんな日々が続く中、30歳になった夏、突然まなみが問いかける。「もし、元に戻る方法がわかったって言ったら、どうする?」――。
■並々ならぬ覚悟で挑んだ“入れ替わり”「生半可な気持ちでは臨めない」「この作品を超えた景色を見てみたい」
――今作のオファーを聞いた感想を教えてください。
芳根:最初は入れ替わりというワードだけ聞いて脚本と原作を読ませていただき、過去に入れ替わりが題材の役を演じさせていただいたことはありますが、それとはまた違うジャンルの物語だと思いました。これまで入れ替わりのハッピーエンドは戻ることだと思い込んでいましたが、相手の人生を入れ替わったまま生き続けた時に、もはやどっちが相手の人生かわからない。それが最初の衝撃で“でもそうだよね”という新しい感覚を覚えました。
高橋:僕は最初、このタイトルで“もう好き!”と思いました。『君の顔では泣けない』、どういうことなんだろう。自分が入れ替わりものは初めてだったので最初は高いハードルを感じました。芳根さんが言った通り、戻れないまま互いの人生を生きていて、それまで2人がどう過ごしてきたか、これからどう過ごしていくか。まなみとして生きていくということで、これは向き合わないと、生半可な気持ちでは臨めない。全部の作品に対して自分なりに精一杯向き合ってきましたけど、この作品はより一層強く思いました。
芳根:難しいゆえにちょっと燃えた気がします。
高橋:燃える、燃える!
芳根:怖い~!でもやる~!みたいな感じです(笑)
高橋:めちゃくちゃ怖かったですよね。でもすごくやる意味が絶対にある作品だし人間としても成長できるんじゃないかなって。
芳根:この作品を演じきった景色を見てみたいと思ったことを覚えています。
――そういう話は現場でもされたのでしょうか。
芳根:現場ではしていないかもしれないですでも取材を受けるなかで“最初はこう思ってた”と聞くと、そうだったんだ!うれしい!みたいなものはあります。
高橋:考えていたことは同じでした。
芳根:撮影中はとにかく必死でした。そのシーンごとに必死に生きていたから。
高橋:役に隙みたいなものがあると、観てくださる方が感情移入できなくなる怖さもありました。だから丁寧にリハーサルをして本読みをしたりもしていましたね。
――準備の段階でお互いの仕草を参考にしましたか。
高橋:紆余曲折の末、現場では仕草や身振り手振りみたいなものは省き、感情ベースでやっていこうという話になりました。でも最初はとにかくなにかエッセンスがほしいと思って芳根さんのYouTubeを見ました。
芳根:それはまずやることとしては間違っているよって言いました(笑)
高橋:でもすごくすてきで!芳根さんはこういうタイミングで笑うんだとか。最終的に役への持っていき方は変えましたが、勉強時間として有意義でした。
芳根:私と高橋くんが入れ替わったわけではないということが今回の作品での大切なところだと思っています。入れ替わりは難しく複雑に思えてしまうけれど、15年間は戻らないことが今回の作品の面白いところだと思っているので考え方としてはシンプルかなと思います。私は陸のこと、高橋くんはまなみのことを1番に考えるということは、攻め方としては他の作品と変わらないと気づきました。
高橋:一人の人間を生きてるっていうね。
芳根:そこにみんなで気づいてからは気持ちが軽くなりました。仕草とかはその後ついてくるものだし、セリフの言葉遣いなどで陸・まなみとわかりやすくなっているので、このセリフを言って違和感のない人物像をどう作るかを大切にしました。
――燃えるということで、演じる側から見て面白かったこと、発見はありますか。
芳根:この作品を演じきったことでの経験値、得たものはたくさんあるんと思うんですけど、その中でも高橋くんとやれたからこそ、この作品がすごく大きな存在になりました。完成した作品を観てより一層感じています。
高橋:え~!めっちゃうれしい(笑)
芳根:(高橋の口調を真似して)え~!(笑)
高橋:(さらに真似して)え~!(笑)すごくうれしい言葉をくれますね。
芳根:すごく難しかったからこそお芝居はこういう楽しさがあると改めて気づかせてもらえました。それはまなみが高橋くんだったからだと思います。(フライヤーに書かれた)「入れ替わったのが水村で良かったと思った」とはまさにこの言葉の通り、「入れ替わったのが、高橋くんで良かった」って思いました。
高橋:本当に人間的な相性がかなり大事ですもんね。長い間を過ごしているので、大学生になって社会人、30歳になってとか、入れ替わってから陸がまなみとして過ごして体と心がリンクしていくグラデーションを表現するのは楽しかったです。1番最初にどのシーンから撮影開始するのかも現場でみんなで話し合っていたので面白かったです。
芳根:「30歳から演じるか、21歳から演じるか、どっちからがいいですか」って。
高橋:だんだん変わっていくベースをどちらから作るのがいいのか。
芳根:“どっち!? わからない!どっちも難しい!”ってなりましたね。結局、撮影は30歳の陸とまなみからで、まずベースを作って遡(さかのぼ)ろうとなりました。
――本当の自分をさらけ出せる陸とまなみはすてきな関係性ですよね。1年に一度2人が会う、喫茶店『異邦人』での報告会のシーンは特に印象的です。
芳根:とにかくワンシーンが長いので震えました。
高橋:長い上につながっているから3シーンくらいを一気に撮ってしまうこともありました。撮影はすごく暑い時期で、スタッフさんも集中しているから空気がどんどん薄くなっていくんです。カットがかかるたびに外に出て…。
芳根:「空気がおいしい!」とか言ってました(笑)
――陸とまなみ、2人にとってあの時間はどんな時間だったと思いますか。
高橋:いろんなタイミングで2人は会っていたんだろうけど、きっとあの場所に来ることが嫌だなと思うときもあれば、行きたいと思うときもたくさんあっただろうなって。マストで会うことになってはいるけど、そのなかでもたくさんの駆け引きをしてきたんだろうな、もしかしたら戦の場に思えるときもあったのかもしれません。でも、きっと2人が本当の2人でいられる唯一の場、本心でいられる場所だったんだろうなと思います。
芳根:あの場所があったからやってくることができたというのもあるだろうなと思いますし、15年経ってもずっと同じ席に座っていることがグッときます。入れ替わった日の朝から今の今まで変わらずにあの場所があることが2人の心の支えでもありつつ、いろんな戦いがあったんだろうなと思います。
――ここまで本心を話せる人が欲しいとも思いました。
芳根:2人はまた特殊ですけれど。
高橋:親子でもないし兄弟でもない。カップルでもないし…。
芳根:正直、最初は友達でもなかった感じです。
高橋:だから面白いですよね。あまり接点のなかった2人がどんどんかけがえのない












