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平均78歳、男声合唱団 桜川「おっつあんず」

平均年齢78歳の男声合唱団「おっつあんず」。振り付きの歌もある=桜川市友部
平均年齢78歳の男声合唱団「おっつあんず」。振り付きの歌もある=桜川市友部


桜川市の平均年齢78歳の男声合唱団「おっつあんず」が、地域の同世代女性の間でじわり人気を呼んでいる。メンバーはかつての校長先生、石工、自衛官など多彩。数あるレパートリーの中でも一番好評なのが童謡「かあさんの歌」で、前奏に合わせ、一人ずつ母親に語り掛ける。「母ちゃん、生んでくれてありがとな」「早く会いてえよ」。会場は笑いと涙に包まれる。

おっつあんずは、桜川、筑西両市の男性14人でつくる。最高齢91歳、最年少64歳。自称「歌が大好きな、おっちゃん」たちだ。

結成のきっかけは、男性料理教室。講師の仁平千鶴子さん(62)=桜川市=がピアノ講師でもあることから、「男声合唱団で市の音楽祭に出てみたら」と誘われ、「んじゃ、やってみっぺ」と始めた。

仁平さんが歌の指導とピアノの伴奏を担当する。練習は月1回午前中に行い、午後は市内の介護施設で歌を披露する。代表の島田茂さん(73)は「一緒に歌ったり触れ合ったり、逆にこちらが元気をもらっている」と話す。

レパートリーは34曲まで増えた。テレビの水戸黄門の主題歌「ああ人生に涙あり」や坂本九さんの「上を向いて歩こう」、童謡「ふるさと」など。とにかく自分たちが歌いたい曲を選んできた。

毎回欠かさず披露するのが「かあさんの歌」。仁平さんのピアノが流れると、一人一人が自身の母親を思い、とつとつと語り出す。「母ちゃんの年、とっくに越えちゃったよ」「迎えにくんのは、もうちっと待ってくれな」

9人きょうだいの長男として、母親にかわいがってもらったと話す大山一男さん(82)は幼い頃、手をつないで歩いたことを思い出しながら歌う。「たまには夢に出てきてくれ。話したいよ」-。聴衆は笑い、涙を浮かべ、共感する。仁平さんは「毎回握手を求められ、喜んでもらえる」と話す。

定期的に歌う市内の介護施設のほか、市外の介護施設に出張することもある。メンバーは「呼ばれれば、どこへだって行く」と笑顔で口をそろえる。「おっつあんず」の名を入れたオレンジ色のTシャツでそろえ、自作のチラシや看板でアピールする。

現役時代の職業はさまざまで、いずれも初対面だった。酒寄昇さん(84)は「いろんな人と知り合い、初めて知ることも多い」と顔をほころばせる。光栄弘さん(84)は「みんなと遊べて楽しい」、岡田英さん(72)は「こんなにいい仲間はいない」と誇らしげだ。

結成から5周年を迎え、記念コンサートを5日に開く。同市東桜川の市岩瀬中央公民館で午後2時から。舞踊やオカリナ演奏の友情出演もある。入場無料。

記念の合唱を前に、島田さんは「平均年齢から言って、とにかく健康第一。みんなで長く活動できるよう無理せず楽しみたい」と話している。 (平野有紀)

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