2018年5月12日(土)

大洗サンビーチ 津波避難所 誘客に

町、イベント拠点化 需要不透明

大洗町がイベントの拠点として活用することを決めた津波緊急避難施設=同町の大洗サンビーチ
大洗町がイベントの拠点として活用することを決めた津波緊急避難施設=同町の大洗サンビーチ

大洗町の大洗サンビーチに昨年完成した津波避難施設について、町はスポーツやレクリエーションの拠点として活用する方針を決めた。海水浴客が減少し続ける中、普段使われない防災施設を誘客につなげ、年間を通じてビーチに人を呼び込むのが狙い。本年度は国の交付金を使い、町内の団体と連携して事業を進めるが、今後の需要は見通せず、自立が課題となっている。

■県内で唯一
「大洗サンビーチ津波避難施設」(通称ビーチセンター)は昨年7月に完成した。2011年の東日本大震災で最大4・2メートルの津波に襲われた経験を教訓に建設。鉄骨2階建てで高さは海抜9メートル。ビーチにいる人が津波から一時的に逃れるための建物。県が想定する最大級の津波に対応する。
2階の避難スペースは約180人が収用できる。電気と水道も通っている。約3億5千万円の建設費は全額を国費で賄った。町によると、自治体が海水浴場に造った同様の施設は県内でビーチセンターだけだ。
町は、普段は使われないビーチセンターを有効活用しようと、ウオーキングやビーチバレーなどの活動拠点に転用する。市民団体「夢town大洗スポーツクラブ」に加え、NPO「大洗海の大学」と協力し、スポーツやレクリエーションのイベントを開く。第1弾として、14日から「ノルディックウオーキング」体験を実施する。

■運営が心配
防災施設を誘客に利用する背景には、海水浴客数の落ち込みがある。震災前に50万人代で推移していたビーチの夏季行楽客数は近年、30万〜10万人程度。昨年は天候不順で16万8400人だった。町は、ビーチを通年型の観光地へ転換させたい考え。
本年度の事業費2310万円は、全額を国の地方創生推進交付金で充当する。
町は、ビーチセンターの完成前に条例を制定し、利活用の方針を盛り込んだが、具体的な活用法は今年に入るまで固まらなかった。このため昨年夏には、水難事故に備えた警察官の詰め所やライフセーバーらの講習場としての単発的な活用にとどまった。
このため利活用について、一部町議から「(無計画で)運営が心配」「町民から『何に使うのか』と言われてしまっている」との声が出ていた。

■少ない事例
ただビーチセンターを誘客に活用するためのイベント需要は見通せない。事業資金となる国の交付金も限定的で最大19年度末までとなっている。
ビーチセンターと同時期に建てられた神奈川県大磯町の海岸避難施設は、1階にイベントスペースが設けられた。同町は施設を無料で開放しているが、「完成セレモニーでフラダンスのイベントがあった以外に実績はない」と担当者。大洗町の担当者も「事例が少ないことは承知している」と明かす。19年度分の交付金が受けられるかも、本年度の実績に懸かっている。
町では今後、ホームページでPRを強化するとともに、イベント誘致に取り組む。町担当者は「連携する団体と協力し、質が高く安定した内容を提供していきたい」と話している。 (鈴木剛史)



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