2018年7月13日(金)

茨城県教委 教員確保に苦慮 景気回復で民間に流出 志願倍率が年々低下

茨城県教委が教員の確保に苦慮している。本県公立学校教員選考試験で、小中高校と特別支援学校を合わせた志願倍率は年々低下し、2019年度採用では過去10年で最低を更新した。志願者数を増やすべく、選考試験の制度改革やPR強化などあの手この手を尽くすが、減少傾向に歯止めがかからないのが現状だ。

■なり手不足

県教委によると、小中学校教諭の定年退職者は17年度末にピークを迎え、以降も同規模で推移する見通しで、21〜22年度には高校教諭の退職者もピークを迎える。県教委は大量退職を見据え、前倒しで採用枠を増やすなど、教員確保策を進めてきた。

しかし、志願者は減少の一途をたどっている。本県公立学校の小中高校と特別支援学校の教員志願者数は、15年度の3214人をピークに減り続け、19年度は2618人に減少。志願倍率も13年度は5・76倍だったが、19年度は3・21倍に落ち込み、過去10年で最低を記録した。

県教委は「景気が回復基調で学生が民間に流れてしまう」と分析。加えて、長時間労働が問題となるなど「教員は大変な仕事という“ブラック”なイメージが固定化しつつある」(関係者)。

校種別の志願倍率を見ると、小学校は15年度から2倍台に落ち込み、19年度も2・38倍と低迷。柴原宏一教育長は「大変な問題。最低でも3倍以上はほしい。なり手不足は深刻」と危機感を募らせる。

■門戸開放

県教委は近年、受験資格の年齢緩和や成績に応じて翌年度の1次試験を免除する特例制度など、毎年のように選考試験の大幅な見直しを進めている。「門戸を広げ、受験者数を増やし、質の高い人材を確保する」(県教委)のが狙いで、あの手この手で優秀な教員確保に懸命だ。

今月実施した来春採用の選考試験では、教員免許を持つ社会人の1次試験を免除する特別枠を設けたところ、予想を上回る計50人が出願。また、受験者の利便性向上を図ろうと、試験会場を水戸市内のほか、県西、県東地区に1カ所ずつ新設すると、県西237人、県東93人の志願があった。県教委は「周知を徹底し、さらなる人材の掘り起こしにつなげたい」と手応えを口にした。会場数は来年度以降も増やす方向で検討していくという。

■争奪戦

県教委は4〜5月、関東を中心に東北地方まで数十校の大学に足を運び、説明会に力を入れている。都内の大学を対象に本年度、初めて合同説明会を開くなど新たな試みも始めた。

教員のなり手不足は全国共通の課題で「優秀な人材の奪い合い。まさに“仁義なき戦い”」と県教委。今秋からは大学3年生を対象に、次年度の説明会シーズンに突入する。

一方、本県独自の優秀な人材の囲い込みも進む。

県教委は教員を目指す大学3、4年生ら対象の「教師塾」を14年度に開講。17年度までの4年間で千人近い学生らが参加し、多くの受講生が教員試験を受験するなど成果を挙げている。17年度からは大学1、2年生向けに、若手教員との交流や学校現場での体験研修など「教員の魅力を知ってもらう取り組み」もスタート。そのほか、教員の仕事内容を伝える大学講義を開くなど、大学生の“青田買い”に躍起だ。

柴原教育長は、各大学の教育関係学部の学生だけでなく、他学部から「教員志望」の人材を掘り起こす必要性を挙げ、「大学との連携を強め、志願者数の減少に歯止めをかけたい」としている。 (朝倉洋)

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