2018年8月4日(土)

栃木女児殺害 衝撃今も、見守り継続

常陸大宮 高齢化、活動難しく

遺棄現場近くの国道293号を家路に向かう児童たち。見守り活動は現在も続く=常陸大宮市東野
遺棄現場近くの国道293号を家路に向かう児童たち。見守り活動は現在も続く=常陸大宮市東野

2005年の栃木小1女児殺害事件を契機に各地で始まった見守り活動。子どもたちを狙う犯罪が後を絶たないことから、登下校中の児童に地域の大人が付き添う光景は今や当たり前となった。遺体が発見された現場近くの小学校でも活動は続くが、少子高齢化や共働き世帯の増加、学校の統廃合を背景に、活動を巡る環境は以前に比べ難しさを増している。

「常陸大宮市三美の山林で、女児の遺体が発見されました。警察は死体遺棄事件とみて女児の身元を調べて…」。05年12月2日。常陸大宮市立玉川小(当時)校長を務めていた萩庭利昭さん(70)が帰宅しようと車に乗り込んだところ、ラジオから耳を疑う知らせが飛び込んできた。

「まさか、うち(同小の)子どもじゃないだろうな」。同小は、通称「栗山」と呼ばれる女児の遺棄現場から直線距離で約2キロ。萩庭さんは即座に校内へ引き返し、児童の安否確認に奔走。全員の無事を確認したが、翌3日からは、空いた時間を見つけては積極的に学区内のパトロールにも出掛けたという。

■緊張の日々続く

栃木県今市市(現・日光市)の小学1年、吉田有希ちゃん=当時(7)=は05年12月1日、下校途中に行方不明となり、翌2日午後、約60キロ離れた常陸大宮市三美の山林で遺体で発見された。胸には十数カ所の刺し傷。凄惨(せいさん)な事件は、学校関係者や地域住民を震え上がらせた。

玉川小では、PTAと連携し、保護者が集団下校の列の前後に付き添う。列を離れて自宅へ向かう児童一人一人にも大人が張り付くなど教員や保護者、地域住民に緊張の日々が続いた。

■地域社会の責任

玉川小は近隣校と統合し、大宮北小に校名が変わった。児童の集団下校と地区住民の見守り活動は現在も続く。

同小に近い東野区では、住民25人が自警団を組織。事件や事故から守ろうと、交代で集団下校の児童に付き添う。5年前から自警団に参加する東野区長の横山義美さん(68)は週1回、同校入り口から国道293号に架かる高架橋までの約2キロを児童らと歩く。

自警団は60〜80代が中心で、最高齢は89歳。子どもたちの安心安全を守る見守り活動を地域社会の責任と捉えるが、近年は団員の高齢化が悩みの種だ。横山さんは「われわれの世代がいる間は大丈夫」としながらも、団員のスカウトは欠かせないという。

「あの事件は忘れられない。誰かが活動を引き継がなければ」と横山さん。3日に東京高裁が無期懲役の判決を言い渡した。「取りあえずほっとしている。無罪になり、釈放されてしまうと地域の方々に不安が及んでしまう」。今後も地域一体となって見守り活動を続けるつもりだ。

全国を震撼(しんかん)させた凶悪事件から12年余り。その記憶は色あせない。(大平賢二、海老沢裕太郎)

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