2018年8月30日(木)

産総研 3Dプリンターで入れ歯 アイディエスと製造技術開発

短時間、低コスト

3Dプリンターで金属をさまざまな入れ歯の形に積み上げる
3Dプリンターで金属をさまざまな入れ歯の形に積み上げる

産業技術総合研究所(つくば市)は歯科用合金製造販売を手掛けるアイディエス(東京)と組んで、3Dプリンターを使って人工入れ歯を製造する技術を開発した。鋳型で作る従来品と比べ3分の1以下の短い時間で製造でき、コストも半分以下に減らせるのが特徴。医療機器として製造できる医薬品医療機器法(旧薬事法)の承認も得ており、保険適用を目指す。

産総研によると、製造方法はまず、患者の口の中の形を計測してスキャンしデータを取得。3次元の歯列データを作成して入れ歯を設計する。これを基に、直径50マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のコバルトクロム合金の粉末を3Dプリンターのレーザーの熱で溶かしながら、立体的に積み上げて入れ歯を製造する。成型の精度が高く、より患者に適した加工ができるのが特長だ。

従来の鋳造方法では、歯科技工士が口の中の型を取って石こうで模型を作り、入れ歯の型を作った上で、鋳造や溶接するなど工程が多い。製造期間は2週間ほどかかり、材料の無駄も多い。これに対し、工程の少ない3Dプリンターでは1〜2日に大幅に短縮できる。合金粉末は繰り返し使え、原材料のコストも半分以下になるという。

入れ歯は繰り返しかむことで、特に部分入れ歯で破損することが多いが、今回の技術では破損も減らせ、耐久性も高いという。破損してもデータを基に造り直すこともできる。

アイディエスが今年4月、コバルトクロム合金粉末の薬事承認を国から得た。産総研は材料の研究や安全性の評価を行った。

今後、2年以内に保険適用を目指す。また、現在の海外製の合金粉末を国産にするほか、金属アレルギー患者向けにチタン粉末を使った入れ歯の開発にも取り組む。

高度なものづくりを行う歯科技工士のなり手が減っている事情もあり、3Dプリンターによる技術を導入することで技工士の減少に歯止めをかける可能性もある。

産総研の岡崎義光上席主任研究員は「鋳造からデジタルものづくりへ転換する革新的な技術。保険適用により、普及させていきたい」と期待を込めた。(綿引正雄)

3Dプリンターで製造した金属製の入れ歯
3Dプリンターで製造した金属製の入れ歯


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