2018年9月4日(火)

「ごみ屋敷」背景に孤立 茨城県内解決へ動き 地域で課題共有

男性の家は大量の物であふれていた=2017年1月撮影(小美玉市社会福祉協議会提供)
男性の家は大量の物であふれていた=2017年1月撮影(小美玉市社会福祉協議会提供)

■近隣も片付け参加

家の内外に物があふれる「ごみ屋敷」。衛生や景観の面から近隣住民とトラブルにつながる。背景には、当事者が問題を抱えながらも支援を受けずにいる状況が見られ、孤立が指摘される。地域とのつながりを構築させようと、片付けに近隣住民の手を借りる動きが県内で出てきた。


小美玉市の男性(64)は精神疾患により、2年前から市内の障害者支援施設に入所している。入所前に自宅が何度も「ごみ屋敷」と化した。家族4人全員が問題を抱え、支援が必要だった。

男性は20代半ばで病気になり高卒後から勤めた仕事を辞めた。兄も精神疾患。父親はアルコール中毒。母親は人工透析が必要で、ほとんど寝たきりだった。

自宅の中は、雑誌や衣類が天井近くまで積み上がった。2006年、両親が相次いで亡くなると悪化。服薬の管理さえ難しくなった男性を見かね、訪問看護スタッフが市社会福祉協議会に相談。市社協は翌年、市や訪問看護スタッフ、民生委員の協力を得て男性宅を片付けた。しかし、その後も兄が物をため込んだ。兄も09年に亡くなり、市社協は2度目の片付けを実施。11年には敷地内の除草も行った。

■死別で悪化

男性は「父と母が亡くなってから、ごみ捨てができなくなった」と明かす。「兄の物はごみなのかどうか判断できず、財産だと思った」

2度の片付けできれいになった男性宅だったが、再びごみがあふれる。親しくなった近くの外国人が倉庫代わりに物を置いた。外国人は連絡が取れなくなり、大量の物が残った。男性は「皆さんがいなければ、ここ(施設)に入れなかった」と感謝する。

当時、男性ら一家の支援に携わった関係者は「両親の死で、辛うじて保たれていたバランスが崩れた」とみている。

■村に14世帯

「ごみ屋敷」は全国各地で問題になっているが、対策に乗り出す団体も出てきた。東海村社協は16年、要支援者の実態調査を行い、村内に14世帯の「ごみ屋敷」があることを確認した。

村社協は昨年度、適切な住環境が困難な世帯を対象に、ごみや敷地外にはみ出た草木の処分を行う事業をスタート。村社協が調整役となり、村役場や清掃業者、住民ボランティアがチームをつくり、片付けに当たる。本人参加を原則に、収入に合わせて処分費を減免。これまで1世帯を解消した。

村社協がこだわるのは近隣住民を巻き込むこと。担当者は「本人と住民が課題を共有して作業をすることで、地域とつながり、SOSが発信しやすくなる」と意義を強調する。

■つながる契機

淑徳大の山下興一郎准教授(地域福祉)によると、「ごみ屋敷」化する背景には、本人や家族のため込み癖や認知症、精神疾患などの問題がある。要因はさまざまだが「明らかなのは福祉サービスをほぼ拒否し、孤立状態になっていること。離別、死別などが引き金になる」と述べる。解決方法として「強制的だと当事者は喪失感しか残らない。地域社会の課題として、可能な場合は市民も片付けに参加することで、当事者と地域住民がつながるきっかけになる」と話す。(斉藤明成)

全国・世界のニュース

2018 年
 9 月 19 日 (水)

メニュー
投稿・読者参加
サービス