2018年9月14日(金)

揺らぐ鹿行ごみ処理体制 潮来、行方 鹿嶋・神栖に合流希望

鉾田、別の枠組みを模索

築25年以上が経過している潮来クリーンセンター=潮来市島須
築25年以上が経過している潮来クリーンセンター=潮来市島須

鹿行地域5市が、広域一般廃棄物処理事業の枠組みを巡って揺れ始めた。潮来、行方両市が8月、鉾田市を加えた3市で進めてきた新ごみ処理施設の建設計画から相次いで離脱を表明したためだ。ともに鹿嶋、神栖両市が別に進める新施設建設計画への参加を目指す意向だが、急な方針転換には、受け入れ側の両市から戸惑いの声も上がる。背景には、既存施設の老朽化や新施設の建設場所などを巡る各市の思惑の違いがあるとみられ、今後の展開の行方は不透明だ。各市の立場や事情を取材した。

■10年進展せず
潮来、行方、鉾田の3市は、各自治体のごみ処理施設の老朽化が進行することから、2008年以降、協議を進め、3市合同での広域一般廃棄物処理施設の建設を目指してきた。しかし、10年を経た現在も、建設場所は決まっていない。

そんな中、最も早く計画からの離脱を表明したのが潮来市だ。同市のごみ処理施設「潮来クリーンセンター」は築25年以上が経過し、3市の中で最も古い。市の担当者は「ごみ処理施設の更新の目安は25〜30年。今から計画が動き始めても、完成まで5年はみなければならない」と説明。原浩道市長も「(行方、鉾田の)2市には申し訳ないが、時間的余裕がない」と、離脱の決断に至った苦しい心境を吐露した。

さらに、潮来市の動きを受け、行方市も計画を離脱し、鹿嶋、神栖両市側への参加の意向を示す。行方市の鈴木周也市長は、「(鉾田市との)2市だけでは、ごみ処理広域化のメリットがない」と話した。

■鹿嶋、神栖は困惑
一方、鹿嶋、神栖両市は25年度の稼働を目指し、昨年度、新たなごみ処理施設の建設に向け基本構想を策定。本年度中に建設場所を選定し、国から循環型社会形成推進交付金を受けるための地域計画を作成する直前だった。

両市は8月末に開かれた各市議会の全員協議会に、潮来、行方両市から計画参加の申し入れがあったことを報告。市執行部側は「2市加入による広域化のメリットや市民生活への影響など、総合的観点から協議検討を進めていきたい」と説明した。

これに対し、鹿嶋市の市議から「処理施設が過大なものにならないのか」「2市が加わることで計画が遅れると、市民生活に支障が及ぶのでは」などの質問が相次ぎ、神栖市では「ごみ処理は難しい問題。基本構想が策定され、まとまった段階で、再検討しなければならないのか」など戸惑いの声が上がった。

■対応急ぐ鉾田
潮来、行方両市が広域ごみ処理事業で鹿嶋、神栖両市との連携にかじを切る中、残る鉾田市の状況は他市とやや異なる。同市は鹿行広域事務組合のほかに、大洗町などと構成する「大洗・鉾田・水戸環境組合」でもごみ処理事業を共同化しているためだ。

岸田一夫市長は4日、市議会全員協議会の席上、今後の枠組みについて(1)鉾田、行方両市(2)鹿行5市(3)同環境組合との連携-の3通りを提案。潮来、行方両市の離脱を「時間や労力を費やしてきたので残念」としながらも、「実現性を考慮して方向性を定めたい」と対応を急ぐ構えを見せる。

10年間にわたる潮来、行方、鉾田3市の協議が進展せず、急転、鹿行地域全体へ波及した新ごみ処理施設建設問題。各自治体の思惑が入り乱れる中、着地点をどこに見いだすのか、各市の判断に注目が集まる。 (大平賢二、藤崎徹、石川孝明、関口沙弥加)

★一部事務組合
地方自治法に基づき、複数の地方自治体や特別区が、行政サービスの一部を共同で処理するために設置する組織。中小規模の市町村が消防やごみ処理、火葬場などの運営を目的に設けることが多い。

鹿行地域の一部事務組合
鹿行地域の一部事務組合

全国・世界のニュース

2018 年
 9 月 19 日 (水)

メニュー
投稿・読者参加
サービス