2018年9月27日(木)

東海第2、審査合格 村民の思い交錯 「原発頼らない村に」「危険は感じてない」

新規制基準に正式に合格した日本原子力発電東海第2原発(左奥)と廃炉作業中の東海原発=26日、東海村役場から撮影
新規制基準に正式に合格した日本原子力発電東海第2原発(左奥)と廃炉作業中の東海原発=26日、東海村役場から撮影

日本原子力発電(原電)東海第2原発が26日、原子力規制委員会の新規制基準適合審査に正式に合格した。立地する東海村の中には、原発がもたらす経済効果や財源に期待する声が根強くある一方、甚大な被害を及ぼす原子力事故を懸念し再稼働に反対する意見もある。2011年の東日本大震災以降、止まったままの東海第2。11月には運転開始から丸40年がたつ。期待と懸念。長年共存してきた村民の思いが交錯する。

「極めて理不尽なことだ」。前村議の相沢一正さん(76)は納得いかない様子。1999年のジェー・シー・オー(JCO)臨界事故を受け、原発反対派の村議になり、3期務めた。現在も脱原発を掲げ、住民団体の要職を務める。

東海第2は防潮堤など安全対策費に約1800億円かかる。しかし原電は資金不足のため、福島第1原発事故の当事者である東京電力に資金支援してもらう予定。相沢さんは福島県の避難指示区域に足を運び、惨状を見た経験を踏まえ、「福島第1の事故が収束していない中、東電の資金支援を認める原子力規制委はおかしい」と非難する。

約96万人が逃げる広域避難計画は規制委の審査対象外だ。「避難計画にタッチしない規制基準は不備だ」と訴え、「原発に頼らない村づくりをすべき」と主張する。

村内で米穀類や弁当、酒類を販売する店の経営者、小薗江利之さん(54)は「国が決めた審査基準に合格すれば、基本的には稼働していいと思う」。

東海第2は村の経済に貢献してきた。原発の運転中は常時約千人が働き、13カ月に1回、数カ月にわたって定期検査もあった。検査期間中は3千人近くが出入りし、多くが村内に宿泊して、飲食店にもお金を落としてきた。同店も米や酒を卸し、期間中は注文が増えた。

直接的に原電と取り引きがなくても、地元に何らかの経済効果をもたらすのが原子力産業の構図だった。

同店は1957年、原子力関連施設で働く作業員向けの食堂として創業。小薗江さんには「原電も地域に溶け込み、共に歩んできた」との思いがある。だが福島第1原発事故後、原子力業界に対する見方が変わった。「事業者は村民とコミュニケーションを取り、常に緊張感を持って(事業者を)チェックできる関係が重要」と考える。

6歳と4歳の子ども2人を育てる女性(41)は福島第1原発事故後、夫の実家がある同村内に移り住んだ。県外出身の女性は、村の子育て施設や予防接種の補助など充実した行政サービスを実感。これらの財源は、原子力関連施設の固定資産税や交付金が元になっている。

女性は、子どもたちのために事故のリスクは減らしてほしいとは思うが、「恩恵を受けているし、原発が危険とは感じていない」と言い切る。ただ「目の前の子育てで精神的に余裕がなく、原発について深く考えたことはない」と語った。(斉藤明成)

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