2018年10月3日(水)

高次脳機能障害の啓発缶バッジ完成 つくば・浅野さんデザイン「ゆっくり見守って」

缶バッジへの思いを語る浅野こず恵さん=9月29日午後、阿見町阿見の県立医療大
缶バッジへの思いを語る浅野こず恵さん=9月29日午後、阿見町阿見の県立医療大

脳卒中や交通事故などで脳を損傷した後遺症により、記憶力や注意力などが低下する高次脳機能障害の啓発用の缶バッジを県が作った。当事者である浅野こず恵さん(38)=つくば市=がデザインを手掛け、双葉と亀を描いた。浅野さんは「私たちも頑張っているので、ゆっくり見守ってほしい」と願いを込める。

高次脳機能障害は傷つけた脳の部位によって症状の種類や重さが異なる。身体障害のない人は見た目で分かりにくく、周囲から誤解されて当事者は生きづらさを感じることもある。

今年4月に県立医療大(阿見町)の敷地内に県高次脳機能障害支援センターが開設し、支援体制が強化された。これを機に啓発を図ろうと、県はバッジを企画。以前、同センター職員が浅野さんの芸術作品を見て感動したこともあり、デザインを依頼した。

浅野さんは小学校3年生の時、塾から帰宅する途中に信号無視の車にはねられ、頭を打ち、意識不明の状態が約40日間続いた。後遺症で感情のコントロールが難しくなり、失語症も伴って気持ちを口にするのが苦手だ。人間関係をうまく築けず孤立してしまった。

訓練やリハビリを重ねて8年前から一人で暮らし、就労支援施設に通う。他にも合唱団に所属し、自立した生活を送る。

浅野さんはスケッチブックに23案を描き、その中から同センター職員が選考して2案に絞った。

缶バッジは配る対象別に3種類。当事者用は双葉のイラストで「まだまだこれからずっと見守って」の言葉が添えられている。高次脳機能障害は周囲のサポートやリハビリによって回復する。これから伸びる双葉と回復途上の当事者を重ねた。

支援者・家族用は6色の甲羅を持つ亀。頭と手足を引っ込めて身を守る姿は浅野さん自身だ。浅野さんは「周りが早いと私は亀になる時もある」と言う。「ゆっくりと回復を見守ります」とメッセージを付けた。

完成した缶バッジは9月29日、同大で開かれた県主催の研修会で披露された。浅野さんは家族や支援者約80人を前に思いを語った。「自分の歩幅で焦らないでほしい」

缶バッジは家族会や同センター主催の研修会などで配布する。(斉藤明成)

完成した高次脳機能障害の啓発用缶バッジ
完成した高次脳機能障害の啓発用缶バッジ


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