2018年10月21日(日)

土浦の花火大会中止 開催可否、風速基準なく 実行委 「安全対策見直し必要」

花火が打ち上げられた現場付近を調査する土浦署員ら=7日、土浦市佐野子
花火が打ち上げられた現場付近を調査する土浦署員ら=7日、土浦市佐野子

6日開かれた「土浦全国花火競技大会」が、強風を理由に中止になった。花火の一部が地上付近で破裂し見物客10人が軽傷を負う事故があり、その後も風が強くなるとの判断で打ち切られた。大会は「日本三大花火」の一つに数えられ、87回の歴史を持つ。全国の花火師が集まり、毎年、多くの見物客が詰め掛ける。中止による桟敷席の払い戻しがなく、事前の開催判断に不満や疑問の声が上がっている。県内に開催可否を判断する共通の風速基準はなく、実行委員会は安全対策の見直しを迫られている。 (報道部・吉原宗康、土浦つくば支社・秋葉凌)

■台風接近で強風

大会は6日午後6時にスタート。10号玉▽創造花火▽スターマイン-の3部門で技や独創性を競い、約2万発が打ち上げられる予定だった。詰め掛けた見物客は県内外から約75万人(主催者発表)。事故は午後6時半ごろ発生し、桜川の河川敷で見ていた男女10人がやけどや擦り傷を負った。花火の一部が不発のまま落下し、地上付近で破裂したとみられる。事故から約1時間後の午後7時40分ごろ、中止となった。

水戸地方気象台によると、同日は台風25号の接近に伴い風が強く、土浦市内の午後5時半の平均風速は4・3メートル(最大瞬間風速8・4メートル)。事故が起きた同6時半ごろは4・0メートル(同7・7メートル)だった。実行委は事前の開催判断について「予報では午後9時以降に風が強まり、大会(開催時間)中は中止の基準を下回っていた」と釈明する。

■払い戻しもなく

大会には、20都道県から56の花火業者が参加。中止により競技大会の審査もなくなった。業者からは「丹精込めて仕上げた作品を披露できなかった」と残念がる声が漏れた。大会が途中で中止になることはこれまでにほとんどなかったからだ。

事故について、参加した県内業者は「通常あり得ないことで、風が相当強く吹いていたのでは」と首をひねる。別の業者は「風は場所によって強さに違いがある」と指摘した上で、「中止になるほど強いとは思わなかった。(実行委も)苦渋の決断だったと思う」と主催者判断に理解を示した。

ただ大会は桟敷席の見物客に払い戻ししなかった。当日、中止の報を受け、大会本部に駆け込む客もおり、「納得できない」との声が聞かれた。つくば市、会社員、男性(57)は「中止は仕方ないが、桟敷席は高額なので一部払い戻しがあってもいいのでは」と不満をあらわにした。

■他県の指針参考

花火大会の開催可否について基準はないのか。火薬類取締法施行規則は「煙火の消費に際して、強風その他の天候上の原因により危険の発生するおそれのある場合には、煙火の消費を中止する」と定める。県消防安全課によると、中止判断に明確な基準はなく、主催者側に委ねられる。

実行委によると、開催可否は東京都と千葉県の基準を参考にしているという。都の指針によると、中断または中止するのは、暴風警報が発令された場合や、風速7メートル以上の強風が10分間以上続く場合。千葉県も風速10メートル以上が10分間以上続く場合だ。土浦市の当時の風速は基準を下回っていたが、千葉県は、風速10メートル以下でも周囲の状況や風向きによって「危険な状態」があることを定めている。

実行委は今回の大会中止を踏まえ、安全確保や打ち上げ基準の見直しが必要と認識。担当者は「具体的な数値を設けることも必要になる」としている。

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