2018年10月25日(木)

鹿行広域ごみ焼却施設「着地点」見いだせるか 5市の思惑が交錯

9月定例会で決議案を可決した神栖市議会=同市溝口
9月定例会で決議案を可決した神栖市議会=同市溝口

潮来、行方、鉾田3市と鹿嶋、神栖2市の二つの枠組みで進められてきた新たなごみ焼却施設の建設計画を巡り、鹿行5市の思惑が交錯している。潮来、行方両市が3市の計画から相次いで離脱を表明し、鹿嶋、神栖両市の計画への参加意向を示したのが発端で、9月の各市議会定例会では両市の離脱方針を受けた議案の賛否が分かれた。否決したのは神栖、鉾田両市議会で、神栖市議会はさらに、2市計画の協議に潮来、行方両市を加えないとする決議案を可決した。議会の判断が分かれる形となった鹿嶋、神栖両市は今後、受け入れについて慎重に検討する考えで、他の3市は当面、両市の判断を注視していく。(大平賢二、藤崎徹、石川孝明、関口沙弥加)

■受け入れ拒否

各市議会が上程したのは、潮来、行方両市の離脱方針に伴う鹿行広域事務組合の規約改正議案。鹿嶋、潮来、行方各市議会が可決の一方、神栖市議会は賛成少数、鉾田市議会は全会一致でそれぞれ否決した。

神栖市議会では先月の定例会最終日、都市環境委員会が潮来、行方両市の受け入れ拒否の意思を示す決議案を急きょ提出した。同委員長は「建設地も決まっていない中、枠組みが変われば協議が長引く。2市で早急に進めるべき」などと提案理由を説明。採決に入り、賛成多数で可決した。

同組合の規約改正についての可否は両建設計画の枠組み変更などの協議を妨げるものではなく、神栖市議会の決議も法的拘束力はない。だが5市の思惑の違いが鮮明となり、中でも神栖市議会の強い反対姿勢が際立つ格好となった。

■かさむ補修費

神栖市議会が、潮来、行方両市の受け入れに反対した背景に既存施設の老朽化がある。決議案でも、鹿嶋RDFセンター(鹿嶋市平井)と波崎RDFセンター(神栖市波崎)、鹿島共同再資源化センター(同市東和田)の老朽化などを指摘し、早急な新施設建設の必要性を強調した。

再資源化センターは、鹿嶋、波崎両センターで製造されたRDF(固形燃料)などを焼却し、その熱エネルギーを回収し活用する資源循環型施設。2001年に稼働し、県や両市などが出資する第三セクターが運営する。近年は補修費がかさみ、17年度の経営評価では「改善措置が必要」に評価を下げた。

決議案に賛成した市議は「神栖、鹿嶋も切羽詰まった状況。計画見直しで新施設建設を遅らせるわけにはいかない」と息巻く。

■メリット検討

受け入れについての判断を迫られる鹿嶋、神栖両市長の心中は複雑だ。石田進神栖市長は「決議は重く見ている」と議会の判断に理解を示す一方、近隣市との連携の重要性も認め「(潮来、行方を加えた)4市によるメリットを検討し、協議を進める」と説明。錦織孝一鹿嶋市長も「これまでの協議を無駄にできない」としながらも、受け入れの可否を検討していく考え。

参加要請した鈴木周也行方市長は「協議を見守ることしかできない」と待ちの姿勢。原浩道潮来市長も「2市に迷惑をお掛けしているが、返事を待つだけ」。だが、現有施設が5市で最も古い同市に残された時間は少ない。一方、岸田一夫鉾田市長は、現有施設の老朽化で「鉾田も余裕がない」として、大洗町などとの連携を探り「実現性が高い方へ向かわざるを得ない」との方針だ。

潮来、行方、鉾田の3市長は22日に協議し、3市計画の準備室を休眠させることを決定。3市の「復縁」は事実上困難となった。潮来、行方両市は2市計画から締め出された場合、単独での事業継続も視野に対応を模索する必要に迫られる。5市の市長は今後、協議の場を設けて事態収拾に当たる方針。各市の思惑が交錯する中で、それぞれが納得できる「着地点」を見いだせるか不透明な情勢だ。

★鹿行広域ごみ焼却施設建設問題

潮来、行方、鉾田3市と、鹿嶋、神栖2市の二つの枠組みで新施設整備計画が進められていたが、3市計画の建設用地選定が難航。10年を経た現在も決まらず、潮来、行方両市が8月、計画からの離脱を表明。鹿嶋、神栖両市の計画への参加を申し入れた。一方、鹿嶋、神栖両市は昨年度、新施設建設に向け基本構想を策定。建設場所の選定を進めていた。



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