2018年10月31日(水)

日立でバス実証実験 自動運転の導入視野

試乗好調、課題は無人化

BRTのバス専用道を走る自動運転バス=日立市久慈町
BRTのバス専用道を走る自動運転バス=日立市久慈町

日立市が整備を進めるバス高速輸送システム「ひたちBRT」のバス専用道を含む一部運行ルートで、改造した小型バスによる自動運転走行の実証実験が28日まで実施され、300人を超す一般公募の市民や多数の関係者が試乗した。今後のスケジュールは未定ながら、市は実用段階でのBRTへの自動運転バス導入も視野に入れる。 (日立支社・川崎勉)

■先端技術ぎっしり
強風が吹きつけた19日午前。出発式の後、小川春樹市長らを乗せた第1便が日立市みなと町の日立おさかなセンター停留所を動きだした。メタリックブルーの車両には群れで泳ぐ桜色の魚のシールが貼られ、「日立らしさ」が演出された。

実証実験は国の委託を受けた産業技術総合研究所(産総研、つくば市)が日立市や企業などと協力して実施。産総研の加藤晋首席研究員は「事業化の最先端を目指した実験」と位置付け、同センターとJR大甕駅を結ぶ約3・2キロ区間で行われた。

先進モビリティ社が開発した自動運転バスは衛星利用測位システム(GPS)を利用して走る。基本的に自動運転だが、運転席にはドライバーが座り、緊急時には手動対応する「レベル3相当」の実験だ。

「乗り心地はいい。技術の進歩はすごい」。同駅発の第2便に試乗した関係者は笑顔を見せた。

一般道の一部信号機の情報も取り入れ、「赤」になるまでの残り時間からブレーキのタイミングを制御。道路に埋め込んだ磁気マーカーによる位置補正など、先端技術が詰め込まれた。

■遠隔で監視
同センター停留所から南西に約1キロ。BRTを運行する日立電鉄交通サービスの南営業所の一室で、同社運行管理者の男性がパソコン画面を見詰めた。

「見守っているので安心してください」。男性が車内に声を掛けた。

画面には車両内外に設置されたカメラ12台の分割映像と速度、現在位置などが表示される。SBドライブ社が開発中の遠隔運行管理システムで、車両の不具合や乗客の動きなどを監視し、異常事態発生時にはアラームが鳴る仕組みだ。

「公共交通の場合、こういったシステムを入れないと運行できない。交通サービスとしては必要だ」。同社の宮田証最高執行責任者は強調する。

同システムは安全確保や運行管理のための「監視」が役割。緊急停止だけは可能だが、「操作」はできない。

■次のステップも
市が今回の実験地に応募したのは、旧日立電鉄線跡地を活用するBRTをアピールする狙いがある。産総研は「地方鉄道の廃線が増える中で、モデルとなる可能性がある」(加藤首席研究員)と強調する。

「自動運転が実現すれば高水準の公共交通ができると期待している」。小川市長は力を込める。市は「今回の実験で終わりではなく、次のステップも日立市で」(新交通推進課)と国などに働き掛ける。

ただ、無人化までにはハードルが少なくない。試乗した県内在住の大学4年、山田結美さん(22)は「思ったよりスムーズな運転」としつつ、「(安全面で)人が誰もいないのは怖い」と話した。

料金徴収も、今回はスマートフォンのアプリを活用し、停留所でチケットを事前購入する実験が行われたが、バス利用者には高齢者が多く、対応できないケースも予想される。市は「実用化と言っても一足飛びに無人化は難しい」(同課)との見方を示す。

試乗者アンケート結果などを含め、来年5月ごろには経済産業省から今回の実験結果が公表される見通しだ。

自動運転バスを遠隔監視する日立電鉄交通サービスの運行管理者=日立市留町
自動運転バスを遠隔監視する日立電鉄交通サービスの運行管理者=日立市留町

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