2018年11月4日(日)

県近代美術館・ポーラ美術館コレクション (5)
マチス「中国の花瓶」

色彩の相互作用追究

アンリ・マチス「中国の花瓶」(1922年、ポーラ美術館蔵)
アンリ・マチス「中国の花瓶」(1922年、ポーラ美術館蔵)

20世紀初頭、アンリ・マチス(1869〜1954年)は、絵画における色彩を、自然の模倣や再現といった従来的な役割から解放するフォービスムの中心画家として登場してくる。

フォービスムを通して、原色による激しい色使いと荒々しい筆触によって色彩の純粋性を体得したマチスは、やがて単純化された色面と線描が調和する装飾的ともいうべき絵画世界を志向していく。その過程で大きな役割を果たしたのが、オリエント風の、あるいは植物模様などが施された織物や布地などを用いた画面構成であった。

本作品で描かれているのは、読書中にふと物思いにふけっているかのような女性で、手前のテーブルには色彩豊かな縞(しま)模様のテーブルクロスが掛けられ、中国風の花瓶が載っている。女性の後ろに簡素なタッチで描かれた花模様の背景はついたてと思われるが、画面の奥行きを浅くし、平面性を強調している。

画家はここでは、室内の静けさや平穏、くつろぎを伝えると同時に、3次元的なボリュームを有した人物、存在感を力強く主張する花瓶と赤い花、それらを取り巻く装飾的な背景の間の関係性を問い、色彩の均衡や相互作用を追究しているのである。(県近代美術館主任学芸員・澤渡麻里)

ポーラ美術館コレクション展は水戸市千波町の県近代美術館で18日まで。月曜休館。同館(電)029(243)5111
(おわり)



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