2018年11月8日(木)

東海第2延長認可 元原電理事・北村俊郎さん、今の原発事業は虚構 形式主義から脱却すべき

原発事故で避難を続ける元原電理事の北村俊郎さん=福島県郡山市
原発事故で避難を続ける元原電理事の北村俊郎さん=福島県郡山市

今月末で稼働40年を迎える日本原子力発電(原電)東海第2原発の運転延長が認可された。元原電理事の北村俊郎さん(73)は、東京電力福島第1原発事故で被害者となった一人。原発を推進してきた責任から、事故対応や住民避難の在り方など、原発の安全性を巡る問題点を指摘し続ける。

「日本は形ばかり整え、さまざまな訓練もお芝居のよう。これじゃ実際には役に立たない」

原発事故後に思い起こしたのは、かつて視察したフランスの原発で行われた訓練だった。事故対応チームに届く情報にわざと誤ったデータを混ぜ、それに気付くかどうかのテストまでしていた。過酷事故を想定し、続けて3日間訓練することもあった。

「日本では避難訓練も『住民を心配させるから』とブレーキがかかり、大規模には行われなかった」。帰国後に改善を訴えたが業界を動かすまでには至らず、後悔が募った。「現実的に考え、全ての対策に余裕を持つこと。形式主義は終わりにするべきでしょう」

原電では人事部長や社長室長などを歴任。退職後は日本原子力産業協会の参事も務めた。福島県富岡町についのすみかを構えたのは約20年前。気候が温暖で住民サービスも充実していたのが気に入った。だが「3・11」に遭遇、自ら推進してきた原発の事故で家を追われた。

震災翌日に避難する際、妻から「どのくらいで帰れるの」と聞かれ、「長くて2、3日」と答えた。それから7年半。福島第1から約7キロの自宅は帰還困難区域にあり、同県須賀川市で避難を続ける。「近所は積み上げられた除染土ばかり。これでは解除されても戻れない」

エネルギー安全保障の観点から、動かせる原発は活用するべきとの立場で業界誌などへの投稿を続けている。ただ「出口」のない使用済み核燃料や放射性廃棄物が増えるため、「最小限の規模で運転するのがいい」と主張する。

原子力政策にも矛盾を感じている。政府は、2030年度の電力量に占める原発の割合を20〜22%にする計画だが、実現には30基程度必要になる。高速増殖原型炉もんじゅを廃炉にする一方で、核燃料サイクル路線を継続する。

「どれも実現への道筋は見えない。今の原発事業は虚構でしょう。まずはそこを認めることからスタートするべきではないでしょうか」(戸島大樹)

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 11 月 16 日 (金)

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