2019年1月7日(月)

フラワーアレンジメント 高次脳機能障害に効果

農研機構と県立医療大 患者の記憶力改善

プログラムを実践しながら効果を説明する望月寛子研究員=つくば市観音台
プログラムを実践しながら効果を説明する望月寛子研究員=つくば市観音台

交通事故などで脳に損傷を負う「高次脳機能障害」の患者が、フラワーアレンジメントを行うことで記憶力向上に効果が出たことが6日までに、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、つくば市)と県立医療大(阿見町)のチームの研究で分かった。一定の条件の下で手順書通りに花を挿して完成させるプログラムを通し、記憶障害の改善が見られた。チームは「生花を扱うことで心の安定にもつながる」とし、花材の普及も進める。

高次脳機能障害を負った人は全国で約32万7千人(2016年、厚生労働省調べ)。自立生活を送り社会復帰するには認知機能のリハビリが欠かせない。

農研機構と県立医療大は、フラワーアレンジメントの効果を実証しようと、10年に認知機能の訓練プログラムを開発。8〜10センチの立方体の吸水スポンジに「○」や「△」の印を付け、専門の講師がいなくても利用者が手順書に沿って数種類の花を生けるプログラムで、これまでに統合失調症患者への効果が実証されている。

臨床試験は、高次脳機能障害を負ってから1年以上経過し、軽度から重度までの記憶障害のある人を対象に行った。参加者16人(平均年齢43・8歳)が約4週間に6回、10分程度のフラワーアレンジメントを体験。その後に記憶テストを行うと、平均で2倍近く得点が上がり、参加していない人と比べて4割以上も得点が高かった。

さらに16人のうち追跡調査した9人は、3カ月後に同じテストを受けても得点を維持していた。

花材をバランスよく配置することで、視覚を通じた記憶力や空間認知能力が高まるという。農研機構野菜花き研究部門の望月寛子研究員は「色つき棒を使った同様の実験でも効果は実証されたが、生花に触れることで患者や家族の心の健康にも良い」と強調する。今後は高齢者のアルツハイマー病など認知症への効果も研究する予定だ。

チームは、プログラムに使う印付きスポンジの特許を取得。スポンジは阿見町の高次脳機能障害者のための福祉施設「ケアステーション コナン」で製作しており、全国の生花店やインターネットで1個200円から販売する。県内ではつくば市千現の生花店「プアラニ」が取り扱い、花材とのセットで2千円で配送。同店の塚田祐一社長は「花材セットを使うことでリハビリ効果のほか、障害者の就労や花の地産地消にもつながる。関心を持ってもらえれば」と期待を込めた。(綿引正雄)

プログラムで使われる印付きのスポンジと花材セット=つくば市千現のプアラニ
プログラムで使われる印付きのスポンジと花材セット=つくば市千現のプアラニ


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