2019年1月7日(月)

いじめ重大事態に対応 茨城県教委、手引書作成進む

月内にも完成 解決までの流れ図示

【AD】

茨城県教委は、いじめの「重大事態」が発生した際、市町村教委や学校が適正に対応できるよう、具体的な対応策などをまとめたマニュアルの作成を進めている。2015年に取手市立中学3年の中島菜保子さん=当時(15)=が日記に「いじめられたくない」と書き残して自殺した問題で、法制度に対する理解不足や、県と市との連携不足などが課題となったことから、対策に乗り出した。いじめの重大事態に関するマニュアル作りは初めてで、県教委は「いじめへの対応の徹底を図りたい」としている。

国は13年、いじめ防止対策推進法を制定。いじめで児童生徒らの生命、身体、財産に重大な被害が生じ、相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認められるときを「重大事態」と定めた。

同法では、重大事態の対応は学校の設置者である市町村や学校が担うとし、県は市町村が適正に対応できるよう、必要な指導、助言を行うことができると規定している。

取手の事案では、取手市教委が重大事態に該当しないと議決したが、県教委に詳細な報告はなく、連携不足が浮き彫りになった。法制度に対する理解不足も重なり、県教委は「取手市と十分な意思疎通を図り、もっと連携して対応すべきだった」とする。

県教委は、その反省から、市町村教委向けの研修会で法の理解徹底などを進めるが、「まだまだ定着度は低い」として、同法に基づく具体的な対応のポイントなどをまとめたマニュアル作成に踏み切った。

マニュアルでは、いじめの重大事態に対して誤った判断や対応をしないよう、同法に基づく定義や判断基準を改めて明示。その上で、市町村教委や学校の調査方法、被害を受けた児童生徒や保護者への説明、関係機関との連携など、事案発生から解決に向けた具体的な役割や対応方法をまとめた。一連の流れが一目で分かるよう、フローチャートとして掲載したのが特徴。

同法によると、重大事態が発生した際の市町村教委の対応として、県教委に報告する「法律上の義務はない」(県教委)という。しかし、取手の事案の教訓を踏まえ、県と市町村との連携強化や早期解決を図るため、マニュアルでは、県教委への報告事項を盛り込んだ。

重大事態の疑いがある際、法律などに基づいて適切に対応できているかどうか、初期、中期、長期の3段階に分けて確認することができるチェックシートも添付する。

マニュアルは1月にも完成予定で、市町村教委や学校など関係者に配布する。県教委は「いじめの重大事態に関して、県としても積極的に関わり、しっかりと対応できる環境を整えたい」としている。(朝倉洋)

★いじめ防止対策推進法
2011年10月、大津市の中2男子がいじめを苦に自殺したのをきっかけに、防止対策を徹底するために議員立法で13年に制定された。いじめを「心理的または物理的行為で心身の苦痛を感じるもの」と定義。心身に重大な被害を受けたり、長期欠席を余儀なくされたりした場合を「重大事態」と定めた。学校には文部科学省や自治体への報告、教職員や専門家らでつくる対策組織の設置のほか、速やかに事実関係を調べ、被害者側に適切な情報提供をすることなどを義務付けた。



次の記事:あおり運転殴打 社会の安全守る法制度導入検討を 

全国・世界のニュース

2019 年
 8 月 22 日 (木)

メニュー
投稿・読者参加
サービス