2019年1月26日(土)

原子力機構大洗研 150時間連続で水素製造 高温ガス炉 実用化へ大きく前進

日本原子力研究開発機構の連続水素製造試験装置=大洗町
日本原子力研究開発機構の連続水素製造試験装置=大洗町

日本原子力研究開発機構(原子力機構)は25日、大洗町成田町の大洗研究所で高温ガス炉の高温工学試験研究炉「HTTR」の熱を利用する水素製造技術の試験で連続製造時間が150時間を超えることに成功したと発表した。950度という高温を利用できる高温ガス炉の特長を生かした、二酸化炭素(CO2)排出のない水素製造法。世界初の原子力による水素製造の実用化へ大きく前進した。

水素製造法の現在の主流は、天然ガスや石油などの化石燃料から水素を取り出す方法だが、化石燃料が枯渇する恐れがあることや製造過程でCO2を排出することなど課題がある。

高温ガス炉は、現行の原発の軽水炉と違い、冷却に水ではなく化学的に安定したヘリウムガスを使用。構造的に炉心溶融や水素爆発を起こす恐れがなく、安全性が高いとされている。出力は30万キロワットと大型化に向かないが、原子炉の温度が高いのが特徴で、この熱を発電だけでなく水素製造などに使える利点がある。

原子力機構では、国際競争にもなっている、ヨウ素と硫黄を用いた三つの化学反応を組み合わせることで水を分解して水素を製造する熱化学法「ISプロセス」の研究開発に取り組み、2016年2月に実用工業材料製の試験装置による試運転に成功。配管の内部のコーティングを変えるなど、腐食性のある流体に耐えうる装置の開発、改良を重ねることで、長時間運転の目安となる150時間(1時間あたり30リットル)の連続水素製造に成功した。

原子力機構によると、これまでに中国で60時間(1時間あたり50リットル)の連続運転の実績があった。

HTTRは現在運転停止中で、14年に新規制基準適合審査を申請し、今年10月の運転再開を目指している。今回の試験は電気ヒーターによる熱を利用しており、将来的に実際にHTTRに装置を接続する実験を行いたい意向だ。

水素は燃料電池車への期待も高まっており、原子力機構は「将来的に水素を安定的に合理的な価格で供給することで、わが国における水素社会の構築に大きく貢献できる」としている。(三次豪)



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